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小説(岩男)
喧嘩するほど〜後編〜【光速+いっぱい】


「な・・・なんだよお前・・・何する気・・・」





クイックがそう言うがはやいか、フラッシュはすばやく自分の接続コードをクイックに差し込み、ハッキングしはじめた。





「ちょ、おい!!ふざけ・・・って腕が動かねェェェ!!」



「ヒャハハハ!!ついでに足も動かねェぜ・・・?」



「ぎゃぁぁ!!マジだ!!てめェ・・・俺に何しやがった!?」



「ちょーっとプログラムをいじっただけですよ?オニーサマ?」



「うっせー!!オニーサマとか言い方がむかつくんだよ!!つかてめェ、やり方が卑怯なんだよ!!こんなことで俺に勝ったとか思ってんじゃねーよ、ハゲ!!!」











「…本気で俺を怒らせたな、クイック。」



クイックが負け惜しみともとれる悪口を言った瞬間フラッシュの顔から笑みが消え、真顔に変わり、目が物騒な光を放った。
フラッシュの突然の変貌に、クイックがビクッと身をすくませた。
それほどその時のフラッシュは怖かった。









「そこまでだ。フラッシュ、クイック。」


今にも何かしだしそうなフラッシュの方に手を置き、メタルはそう言った。



「なんだよメタル…いまからこいつに痛い目見せてやるんだよ!」


フラッシュはまだ怒りがおさまらないらしく、噛みつくようにメタルに言った。
そんなフラッシュにため息をついて「まぁ、落ち着け」とメタルは言い、こう付け加えた。



「クイックの顔を見てみなさい。」



「は?……あ…。」



フラッシュは、言われたとおりにクイックを見て唖然とした。
そこには、腕が動かせないために歯をくいしばって、涙がこぼれるのを堪えている『オニーサマ』がいた。


「あ…、え、え…っと…。す…すまない。俺もちょっとやりすぎた。」



いつもプライドが高く、上から目線のクイックが泣きそうになっている…フラッシュは驚きと動揺で怒りも忘れて謝罪の言葉を言った。
だが気まずそうにしつつも、フラッシュは稀に見ないクイックのそんな表情をガン見していた。

クイックは、フラッシュにこんな恥ずかしい顔を見られてしまったための羞恥で真っ赤になり、突き刺さるようなその視線に耐えられなくなって顔をそむけた。
だがそむけたために、その眼にたまっていた涙が流れ出し、しかも一度流れ出すと止まらなくなって、嗚咽を漏らしながらクイックは泣き始めた。




「…っひっく…こっち見んな…っばかぁ!…フラッシュなんて…嫌いだっ…」





「・・・・・。」



フラッシュは、まるでタイムストッパーを自身に使ったかのように固まって動かなくなり、ただクイックの顔をガン見していた。

そんなフラッシュを見て、メタルは呆れたようにため息をついてこう言った。



「プログラムを治してやれ。」


「…あぁ。分かってる。」


フラッシュはそう答えてからも動く気配がない。ひたすらガン見だ。
メタルは、さすがにクイックがかわいそうだと思い、フラッシュにメタルブレードを突き付けながら一言こう言った。





「治せ。」


「…はい。」


フラッシュは首に突き付けられたメタルブレードを横目で見ながら、顔から血の気が引いていくのを感じた。



(…本気じゃねぇって分かってても怖ェよ…。)


フラッシュは心の中でそんなことを考えながらクイックのプログラムを治しはじめた。
ちょっともったいないな…とか考えつつ。


(くっそ…こんなことならカメラ持ってきとくんだったぜ…!!)


さっきのクイックはやばかった。あれは卑怯だ。
自分とクイックを繋げるコードを見ながらさっきの場面を思い出した。


顔を真っ赤にして涙を流すクイック…その口から放たれる言葉さえもかわいくて…。


(…こういうの『惚れた弱み』って言うのかな。)


フラッシュは顔に出さないようにしていたが、やはり少しニヤける。これは仕方ない。


(だって俺はクイックのことが…)



「死ねェェェェェェェェェェェェェェエエエエエ!!!!!!!!」

「ブフォアッ!!?」



フラッシュがそんなことを考えていると、クイックの右アッパーがフラッシュの顔を直撃した。ちょうどプログラムを治し終わったのだ。
…治したことに気付かないくらい上の空だったのによく治せたものだ。と自分に感心し、フラッシュは、なぜか得意の足ではなく腕で顔を殴ったクイックの方を見た。
さっきよりもさらに顔を真っ赤にさせ、顔の半分を自分の腕で隠したクイックは、首の上あたりに繋がっているフラッシュのコードを乱暴に引き抜きながら「くそ…っ!!」とつぶやいたかと思うと、フラッシュの方をキッと睨みつけた。



「お…お前はッ!!黙ってプログラムを治せねェのか!!」


「は?どういう…?」








「全部コードを通じて聞こえてるっつてんだよ、このバカ!!!」



クイックはそう叫んだかと思うと、誰にも見えないくらいの速さでこの部屋を出て行き、どこかへ行ってしまった。


フラッシュはポカンとしていたが、ハッとしてメタルの方を向いた。



「どういう…つか、俺はどうすれば…?」


「俺に聞くな。」


だが…とメタルは言い、フラッシュの肩に手を置くとニッコリと笑いながら「おめでとう。」と言った。



「・・・は?」


フラッシュは「意味が分からない」というようにバブルとクラッシュを見た。
すると二人は「気付いてねェのかよこの鈍感」という顔をフラッシュに向けながらため息をついた。



「どう考えたって今のは分かるでしょ…。」


「っていうかコードを通じた内容もなんとなく分かったんだけど…僕。」



クラッシュとバブルはそう言ってから二人で話し始めた。
フラッシュは茫然と二人の言葉の意味を考えていたが、突然「あ!」と言って立ち上がったかと思うと、走って部屋から出て行った。


メタルはそんなフラッシュを見送ってから「あいつ頭はいいのに鈍感だからなぁ…。」とつぶやいてククク…と笑った。











ケンカばかりの二人が互いの気持ちを知った
                

そんなある日の午後のお話。





End




あとがき


これもあとがきがなかったですねwwwwww
取り敢えず、「喧嘩するほど仲がいい」という言葉は光速の二人のためにあると私は思います((ぇ
クイックの泣いてる様子と照れまくってる様子が書けてよかったですwww
Endと書いたにも関わらずまた続いちゃうのですが・・・www
続きもよければご覧くださいwww
それでは、ここまで見てくださってありがとうございました!

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あきゅろす。
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