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景色が飛んでいくように速く流れていき、すぐに目の前のじゅんこの姿が迫ってきた。

「おぅ、お待たせ!」

「大丈夫。…へ?自転車?」

「あぁ。よし、じゃあ後ろ乗れ!」

自転車に股がったまま、後ろを向いて喋りかけた。

「ちょっ えぇえ!?ま、待ってよ!そんな、てかっ 私重いよ!汗臭いよ!?」

「うるせーなぁ、大丈夫だっつの。俺だってバスケで鍛えてるし汗臭えのは俺も一緒だ。」

「…いいのね!知らないよ!どんだけ重くても!」

「任せとけ!わかったから乗れって。」

「じ、じゃあ乗るよ!」


自分の肩にじゅんこの手が置かれた。
…というよりはガッシリと掴まれた。

平然を装っていても、緊張していて心臓の音が半端なく大きかった。

グッ、と少しだけ自転車が沈み、彼女が乗ったことがわかった。

さらに鼓動が早く大きくなる。

「あの、乗ったよ!」

「よし。行くぞ。ちゃんと掴まってろよ!」

汗ばんだ手でハンドルを握りしめ、ペダルに足をかけ、力を入れた。

それと少し遅れて、自転車は前へと進みだした。


―緊張が喜びと楽しさに変わった。

行ける!まだ速く進める!もっと、もっと速く!!

「ちょっ、飛ばしすぎじゃないの!?平気ー!?」

「おー!全然大丈夫ー!」

「ホントにー!?」

「あぁー!」

「そういえばさー!これからどこ行くのー!?」

「行ったらわかるー!」

「なにそれー!?」

「とりあえず行ったことはあるところー!」

二人の影は大きく後ろに伸びて道の上を滑っていった。

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