7 景色が飛んでいくように速く流れていき、すぐに目の前のじゅんこの姿が迫ってきた。 「おぅ、お待たせ!」 「大丈夫。…へ?自転車?」 「あぁ。よし、じゃあ後ろ乗れ!」 自転車に股がったまま、後ろを向いて喋りかけた。 「ちょっ えぇえ!?ま、待ってよ!そんな、てかっ 私重いよ!汗臭いよ!?」 「うるせーなぁ、大丈夫だっつの。俺だってバスケで鍛えてるし汗臭えのは俺も一緒だ。」 「…いいのね!知らないよ!どんだけ重くても!」 「任せとけ!わかったから乗れって。」 「じ、じゃあ乗るよ!」 自分の肩にじゅんこの手が置かれた。 …というよりはガッシリと掴まれた。 平然を装っていても、緊張していて心臓の音が半端なく大きかった。 グッ、と少しだけ自転車が沈み、彼女が乗ったことがわかった。 さらに鼓動が早く大きくなる。 「あの、乗ったよ!」 「よし。行くぞ。ちゃんと掴まってろよ!」 汗ばんだ手でハンドルを握りしめ、ペダルに足をかけ、力を入れた。 それと少し遅れて、自転車は前へと進みだした。 ―緊張が喜びと楽しさに変わった。 行ける!まだ速く進める!もっと、もっと速く!! 「ちょっ、飛ばしすぎじゃないの!?平気ー!?」 「おー!全然大丈夫ー!」 「ホントにー!?」 「あぁー!」 「そういえばさー!これからどこ行くのー!?」 「行ったらわかるー!」 「なにそれー!?」 「とりあえず行ったことはあるところー!」 二人の影は大きく後ろに伸びて道の上を滑っていった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |