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冨樫作品夢
プロポーズ/クラフト

なんだか今日は名前の様子がおかしい。
常に難しい顔をしている。
怒っているわけではなさそうだ。しかし話しかけにくい雰囲気がある。

何か変わったことは?と思い巡らしてみても見つからず、コーヒーの味もいつもと同じ。

「どうかしたのか?」と聞こうとしたその時、
「くっクラフト」と、名前を呼ばれた。

「な、何だ?」

「……」

テーブルの向こうから彼女の腕がぐっと伸びてきて、両手を揃えて強く握られた。
細い指は少し冷たく、握り返したいと思うのもつかの間

「クラフト…私の所に来ないか…!?」

「…は?」

名前は真剣な目でまっすぐ俺を見ている。

「苦手というかやったことないけど、クラフトのためなら家事もこなせるように頑張るし、あのバカ王子のせいで疲れたその身体の落ち着けるような暖かい居場所を用意していつでも出迎える!!だから…結婚してくれ!!!」

「………」

「………何か、逆じゃね…?」
彼女はきりりとした眼差しのまま真面目に自分につっこんだ。

「それはこっちの台詞だ!!あ、危うく乙女心に目覚めるところだった…」

「あはは。じゃあ……結婚してください」

わざと女の子らしく微笑んでぎこちなく言い直す彼女にため息をつく。

「……まさか、先に言われるとはな。」

「え?」

「……お前の男らしさには負けるが…お前が好きだ。結婚してくれ。」

ぱか、と開いて見せた指輪に驚き俺の顔を見る瞳は、涙色で綺麗だった。

「……こんな私で良ければ…貰ってください…」

涙を堪えようと必死な彼女に思わず笑みがこぼれる。

「うぶぶ……見たか王子ー!!!……クラフトは私のもんだー!!!」

名前はそう叫び一人でガッツポーズをとっている。どこかずれている気もするが、そんな彼女に半ば呆れながら、俺の方が喜んでいるに違いない。




end.

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短いなぁ

11.08.31


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