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「シリウス、これ作って欲しいんだけど!」

「は?やなこった、めんどくせぇ。」


これ、と言って見せたのは恵方巻きのチラシ。
そう、明日は節分!豆まき楽しいじゃん?でもさ、ほら、節分といえば恵方巻き食べたいじゃん?
こないだふらりと日本に行って、チラシをもらって初めて思い出したんだけどさっ!


「じゃああたしが作る。」

「それだけはやめておけ!」


具を巻くだけならあたしにもできはずっ!と意気込めば全力のストップがかかったぜ☆
もう一度お願いのためにチラシをシリウスに渡せば、そのチラシをじーっと見て首をかしげている。


「節分、知らない?明日なんだけどさ。それは恵方巻きで、節分の時に食べるのさ!」

「日本の文化か?てゆーかお前、今までんなもんやったことねーじゃねーか。」

「・・・あれ?ないっけ?」


ま、まあ!今年は思い出したのでやりたいんだよっ!と言えばどんな行事なのかと聞かれて少し考えた。
えーっと・・・、確か鬼役に豆ぶつけまくって、、豆食べて、恵方巻き食べる。
たしかこんな感じだった気がする。


「意味は確か厄払いとか福を呼び込むとかそんなんだった気がする!」

「曖昧だな、おい。」

「いやだって意味考えてしたことなかったし。」

「そんなんでいいのか?」


いいんだよ!だって最後にしたの子供の頃だったと思うし、多分みんなそんなに考えて豆ぶつけてないよ!
ひゃっふー!鬼退治ーっ!くらいにしか思ってないって。たぶん。


「で、これを作れだが・・・無理だろ。」

「えー。あ、そういえば豆もなかったや。いいや、明日あたし買ってくるわ!」

「そーかよ、」


恵方巻きに気を取られすぎて豆の存在忘れてた☆
これじゃただの食事だったわ、危ない危ない。







「買ってきたぜぇえぇぇええええ!よしやろう。」


朝一で日本に飛んで、豆と恵方巻きゲットだぜ☆
ついでに豆買ったら鬼のお面くれたよ!日本人優しいなおい!あ、あたしも日本人でした!


「ということで、シリウスこれつけて。」

「・・・は?」

「鬼退治するんだよ、節分って。よくお父さんなんかが鬼役してくれんだよ!だから早くつけて。」


半強制的にお面をかぶらせ、いざ!節分開始だぜぇえええええええ!


「鬼はさ、退治しなきゃいけないからっさっ!」

左手に豆の入った入れ物、右手にガッツリ豆を持って、ピッチャーの構えにて準備完了。



「鬼はぁぁぁあああぁぁ、外ぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおっ!」


思 い っ き り ぶ つ け ま し た ☆


「いてっ!おい、ホントにこんなぶつけ方なのかよ?!」

「おうよっ!全力で鬼退治、それが節分さっ!」


そして普通に福は内。
これは気合入れたってしょうがないしね!


「鬼はぁぁぁぁぁああ、外ぉぉおおおぉぉおおおっ!」

「だからいてーよっ!おいっ、レン!加減しろって!」

「福はーうちー。」

「それくらいで俺にもやれってのっ!」

「え?ムリムリ☆」


気合の入った鬼退治も終了し、さて豆でも食べるかと手を伸ばせばいきなり視界が真っ暗に。


「えっ?えっ?!」

「今度は俺の番な。」

「・・・え?」

「鬼退治。」


目の穴に合わせて前を見ればさっきのあたしと同じようにピッチャーポーズのシリウスが・・・っ!


「鬼はぁぁぁ、外ぉぉおおおお!」

「いったぁぁぁぁいっ!ちょ、たんま!たんまだってしーちゃん!」

「全力でやるんだろ?鬼退治っていうのはよ?」


にやっと笑ったシリウスに危険信号鳴りっぱなしだ!あたしの脳内は。
とりあえず逃げよう、と家の中を駆け回れば追いかけられる・・・っ!


「ちょ、止まろう、止まろうよしーちゃん!」

「お前が止まったらなっ!」


走りながらも豆を投げてくるこいつはどこのいじめっ子だチクショー!
逃げつつも、何かないかと考えてれば思い出す。そういえばまだ豆があったことを・・・っ!
全力で逃げつつ豆をゲットしたあたしは逃げるのをやめ、くるりと反転しピッチャーポーズで投げた。


「ふっふっふ!鬼が反撃しないとは限んないんだよっ!」

「はっ!上等じゃねーかっ!」

「この鬼と化したレン様の本気、見せてやるわっ!」


もはやもう豆まきどころじゃない。
もうこれはシリウスにまいったと言わせてやろうじゃないの!
鬼様をなめんなよっ☆







「はぁ、はぁ、」

「そろそろ、やめ、ねーか?」

「参ったと、いわせる、までは、」

「いわねー、から、お前がい、え」


全力疾走+全力投球=疲労

とりあえずお互いに走ることも投げることもやめれば荒い息だけが聞こえてくる。いい歳して全力疾走って!全力投球って!シリウスったらもう。あ、あたしはまだ若い!

ぐぅぅぅ、空腹を知らせる虫が同時になれば豆まき終了。
だってほら、空腹には勝てないって、うん!



「お腹すいた!」

「あー、確かにな。朝からなんも食ってねーしな。」


お昼過ぎまで豆合戦が続いたけれど、これにて終了なり。
今回は引き分けとしてやろーじゃないのっ!ま、次回はあたしが勝つけどね☆



(節分という名の豆合戦)




(恵方巻きはね、その年の恵方を向いて黙って食べるのさ!)

((・・・もぐもぐ))
((・・・もぐもぐ)うまっ!)

(黙って食うんじゃなかったのかよ)





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