3
やっとのこと、砂へと足をつけたレンは涙目で叫んだ。
「生還した・・・生還したよおおおおお!」
「・・・それは良かったね。」
「さて、今度はスイカ割りでもしようか!」
「切り替えはやっ!」
荷物までダッシュするレンに呆れつつも僕らもそちらへと歩いて行く。
着いてみれば、大きなスイカを抱きしめてるレンがにっこりと開始宣言をした。
「ハー子!もっと右!右だよっ!」
「違うよ左、左だよハーマイオニー!」
「そう、そのまままっすぐ!」
「えいっ!」
ハーマイオニーが振りおろした棒はスイカのすぐ横だった。
僕、ロン、ハーマイオニーと3人とも見事に外れ、まだスイカは割れていない。
そんな僕らをにやりと見て、レンはついにあたしの番が来たわっ!なんて腕をブンブン回している。
「よっしゃー!割ってやるよスイカちゃん!」
「がんばってレン!」
「おうよハー子!見事にこのレン様がかち割ってやんよっ!」
そうしてレンのスイカ割りが始まった。
右、左、と僕らの出す指示に従いスイカへと近づいて行き棒を振り上げた。
「チェストおおおおおおお!」
「うおっ!」
・・・なんで?
僕らスイカへと指示したはずなのに、なんでそこに打ち込んだの?
レンの打ちこんだ場所・・・それは・・・、シリウスの目の前。
確かにスイカの近くに立っていたけれど、なんでそこにたどり着いたの?!
「あり?・・・しーちゃん、ハロー?」
「・・・レン、覚悟はいいな?」
「え、無いない!そんな覚悟!」
「待ちやがれテメェー!」
目隠しを取ったレンは鬼の様なシリウスを見たとたん走り出した。
そしてそれを追いかけるシリウス。
そんな2人に僕らがポカンとしてればやっぱり声をかけてくるのはルーピン先生で。
「あの二人は放っておいて、さあ食べようか?」
「・・・そうですね。」
「もうホント子供なんだから・・・。」
「うわぁ、美味しそうだね。」
いつの間に切り分けたのか、4等分されたスイカを仲良く食べ出す僕ら。
割ってないからスイカ割りとは言えないけれど・・・いいよね、もう。
一口齧ってみれば甘さが広がり、自然と笑顔になってしまう。
皆もそうなのか、笑顔で食べていた。
2人の分なんて忘れて。
「・・・あたしのぶんは?」
「ないよ?」
「えーっ!スイカ食べるの楽しみにしてたのにー!シリウスが追いかけてくるからだよっ!」
「俺のせいじゃねーよ!ざまーみろっ!」
「・・・追いかけっこは楽しかったかい?」
夕日に染まる浜辺をバックに笑うルーピン先生はとっても怖かったです。
でも、まぁ・・・楽しい1日だったかな?
(そしてスイカ割り!)
家に帰ったレンがドでかいスイカを冷蔵庫から取り出し、半分一気に食べてました。
(残りは2人で食べていーよ!)
(スイカ食べれて良かったね・・・。)
(海でのスイカとこれは別物だよ!)
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