Kiss mark





今日は、こうしてずっと
お前を抱き締めていたい


どうして、って?


そんなの
愛してるからに決まってるだろ









Kiss mark
―キスマーク―












『悟空さ』



『ん?』



『今日は修行いかねーだか?』



『あぁ、行かね』



『そうけ』





そう言って、チチは小さく微笑むんだ





その笑顔は、安心したような、嬉しそうな、色々な感情が入り混じったものに見える





それがまた愛しくて…





自分勝手な感情で、チチを締め付けたくなるんだ





『なぁー、チチ』



『ん?なんだぁ?悟空さ』





せわしなく動き回るチチの腕を掴んで、自分が座っているソファーへと、強引に引き寄せた





『い、いきなり何するだよ!?』





驚く反応も、染まる頬も
全て、俺の予想通り





また、それが可愛いんだ





可愛くて、愛しくて










――――…、アイシテル









だから
強く、強く、抱きしめた





壊れるほど、強く…。





『悟空さ…、痛いだよ』





このまま、もっと力を入れたら、簡単に壊せそうな華奢な体





『なぁ、チチ』



『………ん、?』



『愛してっぞ』





わざと耳元で、悪戯に囁く





そのまま、首筋を甘噛みして、白い肌を吸い上げる





赤く染まった、小さな跡は、俺の独占欲を少しだけ満たしてくれる





お前のこと、壊すのは勿体ないからさ





この赤い跡は、お前は俺だけのものだ、って証だよ





『も、もう…、またこんなとこに付けて…どうするだよ…』





どうにかして、それを隠そうとするチチ





もちろん
そんなことは許さない





『隠したら意味ねーだろ?』



『で、でも、恥ずかしいだよ、それに』





止まりそうにない唇を、キスで塞いで、体ごと乱暴に押し倒す





『ひ、昼間から駄目だ!』



『なんで?』



『誰かに、みみみ見られたりしたら、どうするだよ!!』



『それもそれで、いいじゃねーか』



『ばっ…馬鹿ー!!!いいわけねーだ!!!』





必死でもがくチチの動きを、力ずくで止める





このまま、何かで縛ってしまおうか、なんて





狂った考えが頭をよぎる





残酷すぎる自分に、思わず苦笑い





『…………悟空、さ?』





気づいたら、チチは、少し涙目で自分を見ていた





『わりぃ、やりすぎた』





そう言って、涙を拭ってやると、チチは、ううん、と首を振って、優しく頬を撫でてくれる





倒した体を優しく抱き上げると、チチはそのまま首筋に顔を埋めてきた





『チチ?』





と、そこに柔らかい唇の感触…





そして、少し痛痒いような、くすぐったいような





不思議な感触が首筋を走る





しばらくすると、チチは唇を離し、その箇所を指でなぞって、恥ずかしそうに呟いた





『……、お返しだべ』





そこには、薄くて、小さな小さな、赤い跡





その色は、少し遠慮気味につけた証拠





『チチ、おめぇ…』





驚く俺に、チチは俯き加減で照れ笑い





それから、大きな瞳を真っ直ぐ向けて、





『悟空さは、おらだけのもんだって、証だべ』





顔を真っ赤に染めあげ、囁いた





お前…、もう、知らねーぞ





『ヤベー…、わりぃ、チチ』



『なに?』



『やっぱ我慢できねー』



『え…、?』



『ごめんな』





謝ってすぐに、口づけて
言葉を塞ぎ、再びチチを押し倒した





角度を変えて、何度も何度も





強く握られていた俺の服から、ゆっくりとチチの手が離れはじめる





そして、身を委ねるように
そっ…、と首に腕を回してくるんだ





こうなったら、もう止まらない





自分自身
止められないんだ





唇を離すと、火照る瞳に滲む涙





『……、悟空さ、今日はどうしただよ』



『んー?さぁ、どうしちまったんだろーな』





人事のように軽く笑って、服の隙間から手を滑り込ませた





『も、もう…!』





赤く染まる頬に、響く恥じらいの甘い声





あぁ、もう…本当
…、どうしてくれんだよ














理由なんて特にないよ

ただ、こうしていたいだけ



触れた肌も、甘い香りも
強い瞳も、柔らかい笑顔も

とにかく、全てが愛しい



何もしなくても
ただ、傍にいるだけで

お前は、俺の全てを駄目にする



この腕の中

一生このまま、お前を閉じ込めて

自分だけのものにしてしまいたい




怯んだ愛情だ、って

思われたって構わない





(愛しすぎてしまったんだ)





もう、今更
どうすることもできねーよ





なぁ、チチ

そんな小さな赤い跡だけじゃ
物足りないんだ





やっぱりお前を
壊してもいい?







END









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