as long as one lives



あなたは

どんなときでも

私に、
生きる意味を教えてくれる









as long as one lives
―命ある限り―










『悟飯、一緒に散歩でも行かねぇだか?』


『え?』



朝食後、窓の外を眺めながら、チチは天気もいいからと、悟飯を誘った



なんだかいつもと違う母の様子に、一瞬、戸惑った悟飯であったが、久しぶりに母と散歩できるのが嬉しく、すぐさま笑顔を浮かべ、はい!、と返事をした






『いい天気ですね!』


『そうだなぁ〜、ポカポカして気持ちいいだ』




親子二人、手を繋いであてもなく歩きつづける




『昔は、よくこうやって散歩しただよ…悟飯ちゃんがまだ小さいとき』


『僕も覚えてますよ』










左を見上げればお母さん

右を見上げればお父さん

真ん中に僕を挟んで

手を繋いであるいたよね

小さい頃のことは

何処で何をした、とかは

記憶が曖昧な部分もあるけど

僕の頭の上

見上げるといつも

見つめ合いながら
微笑む二人の笑顔だけは

今も鮮明に覚えてるよ








『なぁ、悟飯ちゃん』


『何ですか?』




チチはゆっくり足を止め、頭上に広がる青く澄み切った空を見上げた




『悟空さは…、お父さんは、かっこよかっただな…』




チチの言葉に、悟飯も晴れ渡る空を見上げ、小さく微笑んだ




『うん…、宇宙一のお父さんです』




すると、チチは悟飯に視線を合わせるように、しゃがみ込み、真っ直ぐに悟飯の瞳を見つめた




『悟飯ちゃんも、宇宙一かっこいい、自慢の息子だべ』


『…お母さん』




優しく頭を撫でられ、悟飯は、いろいろなことが走馬灯のように頭の中を駆け巡り、目に涙をうかべた




『お母さん…ゴメンね…僕のせいで…』









あの日、

お母さんの顔から
あの頃の笑顔が消えた…


無理に笑顔を作るようになった

それが僕のためだって

お母さんが寂しさを堪えてしてくれてるってこと

…分かってるよ


どんなに明るく振る舞っていても

静寂に負けないように

必死で声を殺して泣いてること

僕は知ってるんだ…









『何いってるだよ』




クスクス笑い、チチは悟飯の涙をすくった




『そんなんじゃ、お兄ちゃんになれねぇだよ』


『え?』









あなたがいなくなったあの日から

ふさぎ込んで泣いた日々



寝ても覚めても

あなたのことばかりで

あなたのもとへ行きたいなんて…



そんな馬鹿なこと
ずっと考えてた




でも、もう泣かないよ

生きる意味を見つけたの










『僕…お兄ちゃんになるの…?』


『んだ』


『……ほ、本当…?』




チチは、小さく頷き、呆然とする悟飯の頬に優しく触れた




『ごめんな…おっ母、弱くて…悟飯ちゃんに心配ばっかりかけて…』


『………そんなことないよ』


『強くならねぇといけねぇだな!悟飯ちゃんと、これから生まれてくる、この子の為にも』




チチは力強くそう言うと、悟飯の肩にポンっと手をのせ、あの頃と同じ笑顔で微笑んだ











久々に

本当の笑顔を見た気がした


ねぇ、お父さん…

お母さんの
この笑顔


お父さんにも見えてる…?










悟飯はゴシゴシ涙を拭くと、チチに負けないほどの満面の笑みで微笑み返した




『僕も!もっと、もっと強くなるよ!』


『悟飯…』


『宇宙一のお兄ちゃんになるからねっ!!』




いつからこんなに強い子になったのだろうと…
そんなことを思い、チチは目を細めた











目の前にある
この愛しい笑顔

そして

あなたが捧げてくれた

尊い命



守る為に生きてくよ









悟飯はチチのお腹に顔を近づけ手をあてると、




『お兄ちゃんだよー、早く一緒に遊ぼうね』




そう言ってニッコリ笑顔を浮かべると、チチの顔を見上げた




二人は顔を見合わせ微笑み、もう一度、頭上に広がる青空を見上げた














忘れてたよ

空はいつも
変わらずそこにあること



例え触れることはできなくても

大きく広がるこの空は

いつだって私達を

優しく包んでくれる





それは

まるであなたのように…





どんなに遠く離れても

私達は
いつだって一緒だよね…?






澄みきった空の下

あなたと共に

家族四人、手を繋いで

また、この道を歩こうよ







ね、悟空さ…








END











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