what ?




もしかして、

その瞳で
私を弄んでるの…?










what on earth are you ?
―あなたは何者?―












ある日の夕食時





『ほら、また〜』





チチはそう言って、悟天の口元についたご飯粒をとる





『もうちょっと綺麗に食べねぇと駄目でねぇか』





しょうがねぇだなぁ〜、と呆れながらも、クスクス笑ってそのご飯粒を自分の口の中へ運ぶ





『は〜い』





そんなチチに、エヘヘと笑いながら返事する悟天



二人の様子をポカーンと見つめるのは、悟天と同じく、口元にご飯粒をつけながら食事している悟空





『なぁ、チチ』


『ん?なんだ?』


『おらもついてっぞ』





そうニコニコしながら、いかにも取ってというように、ご飯粒を指差す悟空



そんな悟空に、チチは、はぁーっとため息をつき、小さく微笑みながら





『悟空さは子供じゃねぇべ?』





そう言って食事を続けた





『お父さんは大人だもんね!』





さらに悟天が満面の笑顔で畳み掛ける





『…………そうだな』





(子供って、いいな…)





そう心の中で呟き、口元のご飯粒を自分でとり、大人しくハシを進める悟空





夕食後



お風呂から上がった悟空と悟天





『おい、悟天!髪乾かさねぇと』


『あとで乾かす〜!』





そう言って、悟天はダダダァーっと脱衣所から出て行ってしまった



そんな悟天を見て、悟空は、しょうがねぇなぁ、と呟くと、ドライヤーを手に取り自分の髪を乾かし始めた



髪も乾かし終わり、脱衣所を出て、リビングに戻ると、ちょこんと座り、テレビに夢中の悟天の姿





(見てぇテレビがあったんか)





あまりにも真剣にテレビを見ている悟天に、悟空は、そんなことを思い、自然と笑みがこぼれる



そして、冷蔵庫から飲み物を取り出すと、悟空もドサッとソファーに座り、悟天と一緒にテレビを見はじめた



そんな中、別の部屋へ洗濯物を片付けに行っていたチチがリビングに戻ってきた





『こら!悟天ちゃん!髪しっかり乾かさねぇと風邪ひくでねぇか〜!』





そう言いながら悟天に駆け寄ると、近くに畳んで置いてあったタオルを手に取り、ワシャワシャと悟天の髪を拭きはじめた



無理矢理、向かい合わせの体勢にされた悟天は、ただをこねはじめる





『テレビ見えないよぉ〜』





なんとか逃れようと必死の悟天を見たチチは、その手を止めると、その場に正座した





『ほれ!ここ座るだ』





そう言って、自分の膝をポンポンと叩くチチ



そんなチチの膝にちょこんと座った悟天は、髪を拭かれながら、またテレビを見はじめた



その様子を、またポカーンと見つめていた悟空は、ソファーから下りて、チチの隣へ腰をおろした





『おらも乾かさねぇでくればよかったなぁ』


『え?』


『そしたらチチが乾かしてくれんだろ?』





そう言ってチチの肩に手を回して、ニコニコしながらチチの返事を待つ悟空



子供のような笑顔で問いかける悟空に、チチは深いため息を漏らす





『なに言ってるだ〜、悟空さは子供じゃねぇべ?』


『そうだよ〜!お父さんは大人だから駄目だよ』





そう言って悟空の手をチチの肩から外す悟天



先程と同じようなことを二人に言われ、ふてくされながら大人しくソファーに座り直す悟空を、チチは横目で見ながら小さく笑った





『さて、悟天!ドライヤーで乾かしに行くだよ』


『はーい!』





すると、悟天は悟空の手によって、チチの膝から離されてしまった





『あぁ〜!お母さん!』





手足をバタバタさせ、チチのもとへ戻ろうとする悟天を、悟空はひょいと肩車をして歩きだした



どれだけただをこねていても、お父さんの肩車が大好きな悟天は、わ〜い!、と一瞬にしてご機嫌の様子





『父ちゃんが乾かしてやっから〜、な!悟天』


『うん!』





そう言って二人はリビングを後にした



そんな二人の背中を見ながら、チチはやれやれと言うように笑顔を浮かべた





まったく

いつまで経っても

悟空さは子供みたいで困るだ





ヤキモチを妬いてる悟空に気づきながらも、それが可笑しくてわざと冷たくあしらっていたチチは、





(ちょっと意地悪しすぎたかな)





少し反省しながらも、子供のように笑ったり、拗ねたりしていた悟空の顔を思い出し、クスクスと笑った





賑やかな家の中も、一日を終え、静まり返る頃



寝室へ入り、ベッドに横になりながら、頭の後ろで手を組み、ボーッと天井を見つめながら、ふいに悟空が口を開く





『おらも子供になりてぇなぁ…』


『なに馬鹿なこと言ってるだよ』





鏡台の前で髪をブラシでときながら、チチは鏡越しにいきなりそんなことを言い出した悟空を見つめた





『だってよぉ〜…』





天井から視線を逸らすことなく、ぶつぶつと独り言のように話す悟空



子供だったら好きなだけ甘えられる、など、そんなことばかり口にしている悟空に





(今でも、充分、子供みてぇなのに)





チチはそんなことを思い、小さく微笑んだ





『ほら、変なこと言ってねぇで、もう寝るだよ』





そう言ってブラシを置いて立ち上がり、電気を消したチチは、ベッドへと入った



ピッタリ自分にくっつき、横になるチチを見た悟空は、何か思い立ったようにニコッと笑った





『ん〜、やっぱおら大人のほうがいいなぁ』


『へ?』





その言葉と同時に、悟空はチチに覆いかぶさり、上から無邪気な笑顔でチチを見つめる



そんな悟空の笑顔に、チチは、とっさに両手で赤くなった顔を隠す



しかしそれは無駄な抵抗



悟空の手により、すぐにどかされてしまう





『大人じゃねぇと、こんなことできねぇもんなぁ』





その表情は先程とはまるで別人…



そんな悟空に、チチはドキッとしてしまう





『なぁ?』





そう言って、悟空は、不敵な笑みを浮かべてチチの服に、ぐっと手をかけた










この部屋はまるで異空間

彼はここで仮面を剥ぐ…



その瞳に吸い込まれた私は金縛りのように動けない



そんな私を嘲笑うかのように
甘い口づけで全てを溶かす



無邪気な笑顔で油断させ

大人の色気でとどめをさす


心底ずるい男だと…
分かっていても逆らえない







『それによ』


『…え…?』





とろんとした瞳で見つめるチチに、悟空は優しく微笑み、そっと頬を撫でた





『守んねぇといけねぇからな、おめぇたちのこと』










守るべきものがある今

甘えてばかりで

子供じみた自分でも

どんなに大人になりきれていないように見える

こんな俺でも…

大切なものを守る知識は身につけてるつもりなんだ












『大人じゃねぇと守ってやれねぇもんな?』





悟空の言葉に、チチは、うん、と頷き、頬に添えられた大きな手を、優しく包み込む



そんなチチに、悟空はふっ…、と微笑むと、白い肌に顔を埋めた…










甘えるようにすがりつき

あどけない笑顔を浮かべる瞳には

昔の面影を映し出す





そんなあなたは無邪気な子供





守ってやる、と

力強く、そう話す瞳には

父としての決意と

子への愛を映し出す





そんなあなたは立派な大人




夜の瞳は誘惑へと…

その視線で

まずは理性を破壊して

徐々に、私の全てを壊してく…





そんなあなたは…まるで堕天使







ねぇ…
どれがあなたの本当の姿?











惑わす瞳は

確信犯…?








END













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