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オレの秘書さん番外編



連れて来られたセータファミリーの応接室で他愛ない社交辞令を終えた頃、ボスのマルコさんが言いにくそうに口を開いた。


「息子が海外におりますので、本当は娘が同席するはずだったのですが…申し訳ありません」


いつもはこの時間に帰っているのですが…と頭を掻くマルコさんにゆっくりと首を振る。



「いえ、お気になさらずにマルコさん。そろそろ我々は失礼しま……」



オレが途中で言葉を止めたのは扉の向こうに人の気配を感じたから。



同じく気配を感じたらしいリボーンが扉に近づいて扉を開くとそこに居たのは…




横断歩道で老婆を支えていた彼女だった。



『お、遅くなって申し訳ありません!』


一瞬顔を驚きでひきつらせた後、身体を真っ二つに折って詫びる彼女にオレは吹き出してしまった。


「…気にしなくて良いよ。お婆ちゃんを送ってあげたんだろ?」



オレの言葉に今度は勢いよく顔を上げた君の驚いた顔ときたら…



とても可愛いと思ってしまった。







『どうして遅れた理由をご存知なんですか?』


父親の紹介の後、恐る恐る聞く彼女にオレはニコリと笑った。

マルコさんも興味津津の面持ちでオレと娘を交互に見ていて、何だかこの親子は今まで挨拶してきた人間と同じマフィアとは思えなかった。





「丁度信号待ちで止まった車の中から見てたんだ」



『あ…そうだったのですか。沢田様のお約束があるにも関わらず本当に申し訳ありませんでした』


そう言ってもう一度頭を下げる君に首を横に振る。



「良いんだよ、寧ろ尊敬しちゃうな。…えっと、○○さんは大学生?」


『はい。今年4回生になります』



「…就職先は決まってる?」



オレの言葉にちょっと言いにくそうに父親の顔を見る彼女に言わなくても意味を悟った。




「良ければ…オレの秘書になってくれない?」



最初で最後の我儘



(は…ってえぇぇぇ!?)

(ダメかな?)

(で、でも私なんかで…)

(むむむむ娘をよろしくお願いします!)

(お父上もこう言ってるし…ね?)

(…本当に私で良いんですか?)

(○○しか居ないよ)

(はぅぅ………よろしくお願いします)

((君が居てくれたらオレはずっとオレのままで居られる気がするから…))


Fin

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あきゅろす。
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