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オレの秘書さん
4番目の条件 (完)


今日は休日であるにもかかわらず、朝早くリボーンさんと獄寺さんを伴って任務に出発されるボスをお見送りして執務室で書類の整理を始めた私。




控えめなノックの音に顔を上げると、もう少しで昼の12時という所でした。


『はい、どちらさ…京子さん?ハルさんも!』


大きな扉の向こうにいらっしゃったのは京子さんとハルさんでした。



「休日なのにお仕事してるみたいだったから…お邪魔しちゃった?」

京子さんがチラリと私の後ろを伺う素振りをされたので、首を横に振りました。


『いいえ!ボスは任務に行かれましたので、私だけです』

「はひぃっ!?ツナさんがお仕事だからと言って○○ちゃんまでお仕事しなくていいんですよ!」

ハルさんが腕を組んでちょっと怒った顔をされるので今度は勢いよく首を振った。


『私が好きで仕事に来ているんです。ボスからの命令じゃ無いですから!』

そう言えば、ハルさんの表情から怒りは消えたものの納得いかないままと見て取れました。



「折角の休日だし、休憩も兼ねてお昼一緒に食べよ?」


そう言って私の手を取った京子さんの誘いを断れるハズも無く、3人で談話室の先のテラスへと向かいました。






昼食はボスと執務室の隣の部屋でとることが当たり前になっていて、こうして女性と一緒におしゃべりしながらというのは秘書の仕事を始めてからは初。



女の子ならではの会話を楽しんでいると、京子さんが私に「聞きたい事があるの」と切り出されました。



「○○ちゃんが結婚するとしたら相手に求める大切な条件を3つ上げてみて?」


『えっ?条件ですか!?え〜と…』


さすが女の子トーク!と感動しつつ、3つの求めるものを考える私。



それを見つめる視線が2つから3つに増えているとも知らずに…



『条件だなんて思って無いのですが、優しい人、家族想いな人。あと、ボンゴレの人だったら嬉しい…です』


悩みながらそう答えるとお2人とも何度も頷いて聞いてくれていました。

3番目は自分がそれに属しているからという理由だったので、変かな?と思いつつ恥ずかしくて照れ笑い。





「じゃあね…もし同じ条件の人達からプロポーズされて誰かを選ばないといけないの。その中から1人を選ぶとしたら決め手は何?ちなみに、さっき出して貰った条件以外で考えてね?」


『…む、難しいです。だってそんな事有り得ないですもん』


さっきの条件も無理矢理捻り出したというのに、現実に同じ条件の人たちからプロポーズとか万に1つも有り得ないのに…



う〜とかあ〜とか言っていると、京子さんとハルさんがクスクスと笑い出されました。


「ごめんなさい!そんなに悩まないで下さい。思いつきで答えて貰った方が良いモノなんですぅ」

「そうそう…じゃあさ!その条件に当てはまるのって幹部に居る?」


ハルさんの言う思いつき発言に驚いて、更に京子さんの発言に度肝を抜かれました。



『えぇ!?そんな恐れ多い!皆さん当てはまるに決まってるじゃないですか!』


私なんかの条件に当てはめるなんてとんでもない!と手をぶんぶんと振ると、ニッコリと微笑む2人が私との距離を詰めて来られました。



「「その中で1人選んでみて(下さい)!」」


目の前で声のハモった2人の勢いに押されまくりながらも、首を横に振る。

チラリと頭に浮かんだ人が居るけれど、その人だと言うのは余りにもおこがましい。



『ですから、選ぶだなんて出来ませんー!』



「…別にその人と今すぐ結婚するワケじゃないんだから、普通に好みとして言えば良いんじゃないの?」



ふいに真後ろから聞こえた声に全身が凍りつきました。


「ツナ君お帰りなさい!」

「ツナさん、早かったんですね!お疲れ様です」


何事も無かったかのように挨拶する2人とは裏腹に声も出せない私。


しかも2人は「お茶の準備してくるね」と席を立ってしまわれました…





『…お帰りなさいませボス』


「ただいま○○、休日出勤御苦労様。…にしても面白い話してるね」


京子さんが座っていらっしゃった席に座って思い出し笑いをするボスにピーンと閃きました。



『まさか…心理テストか何かですか!?』


「当たり!4番目の条件こそが結婚相手に1番求めることなんだってさ」


楽しそうに笑うボスに、初めから話を聞かれていたのだとだんだんと私の顔が赤くなるのが分かります。



『だから同じ条件の人たちから…なんておっしゃったんですね…』


あはは…と乾いた笑いを零す私にボスはテーブルに肘をついて顎を乗せて私をじぃっと見られました。




「…でも、本当に選ぶとしたら誰が良い?」


『えっ!?』


頭の中が破裂したような感覚でクラクラと眩暈がしました。



い…言えません、絶対に…






だって…さっき頭に思い浮かんだ人が目の前に居らっしゃるんですもん。







この場から逃げ出したいのに、ボスの琥珀色の瞳が私の瞳を捕えていてどうにも逃げ出せそうにありません。


かと言って、嘘をつくのも本当の事を言うのもどっちもボスに失礼な気がして尚更言い出せません…




「もしかして…目の前に居るから言えない?」


ニヤリと仕事中のボスから見たこともない妖艶な微笑みに今度こそ頭の中が空っぽになりました。



「当たり?」


『えぇぇぇぇ…と……そうです。恐れ多いことを思って申し訳ありません!で、でも!心理テストなんで、気にしないで下さいね!あくまで心理テ』


パニック状態の頭でワケの分からない言い訳を始めた私の顔の直ぐ横に大好きな香水がフワリと舞った。



「テストに合格したんでしょ…オレ」


そのテストとこのテストは違うような…

耳元で囁かれた言葉の意味が分からず固まっていると、頬にキスされてしまいました。



『あ…あの?…』


息のかかる位置で見つめられて、これは夢じゃないかと疑っていると今度は口にキス。



「隙だらけだし…。こんな風に他の男にキスとかさせたら許さないからね?」


夢じゃないのは唇の感触で間違いないと分かりましたけど、なんだか凄いこと言われてませんか…私。



「今日から秘書兼彼女ね?」




4番目の条件



(えぇぇぇぇ!あのっ!ボスは誰かとお付き合いしてるんじゃ…)


(してないよ?好きな人が居るのは合ってるけど…○○っていう)


(ふぇぇぇぇ!?嘘ぉ!やっぱりこれは夢ですぅぅぅ!)


(…もう1回キスしてあげようか?)


(………えっと……此処では…チョット…)


(((チッ!)))←リボーン、京子、ハル


(何覗いてんすか…。リボーンさんはまだしも、京子やハルまで…)



'10/10/27up

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あきゅろす。
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