オレの秘書さん
害虫駆除
私は今、動きたくても動けない状況にあります。
それは何故か!
私の手の指先から10センチと離れていない所に黒くて触覚が生えていて、妙にギラギラした背中の生き物がいらっしゃるから…
今日も執務室でボスと一緒にお仕事をして、休憩のために紅茶を淹れようと紅茶の缶に手を伸ばしたまでは良かったのです。
でも、手を伸ばしてその黒光りする方と目が合ったというか、お互いの存在に気付いてフリーズしてしまったのです。
ここで私が手を引いて、このGさん(と呼ぶ事にした)が私の方に飛んできても嫌ですし…
かと言ってどうすることも出来ず、Gさんが早く立ち去ってくれるようお祈りするもなかなか天に届かず時間だけが過ぎてゆきます。
「○○、どうかしたの?」
後ろからボスに声をかけられて、ビクリと肩が揺れてしまいました。
私の祈りは天ではなくボスに届いたと喜ぶものの、Gさんから目を離せず(目を離したら負けな気がして)口だけ何とか動かしました。
『ご、ゴキブリが…』
それだけで意味が通じたらしいボスが私の後ろにそっと近づく気配がしたかと思うとボスに目隠しをされ、そのまま胸の方に押し付けられました。
何事かと驚くものの、Gさんショックを遥かに超える出来事にフリーズ状態は継続。
チッというマッチを擦った時とよく似た音が聞こえたと思ったら、ボスが私を抱き寄せたまま数歩歩き視界を解放して下さいました。
「さっきのは退治しておいたよ」
ニッコリと微笑むボスに、先程の音がG退治をした音なのだと頷きました。
『ありがとうございました…。何だかお恥ずかしい所をお見せしてしまって…』
まだGさんショックから解放されていないため上手く笑えないけれど、どんどん上昇する頬を隠すべくペコリと頭を下げました。
「気にしないで、困ってる時くらい頼ってくれた方が嬉しいし。とりあえず、あのキッチンは一度しっかりバル○ンするように骸に言っておく」
ボスの言葉の中に上げられたお名前に、今度は首を傾げました。
『あの…骸さんは害虫駆除の係なのですか?」
「あぁ、適任だね」
ニヤリと笑われたボスにドキリとしつつ、お上手だという骸さんの駆除作業を少しだけ覗いてみようと思ったのでした。
害虫駆除
(綱吉君…僕の任務がバルサ○ってどういう事ですか)
(お前なら意味分かるだろ?)
(クフフ…職権乱用で訴えますよ…)
'10,10,7up
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