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オレの秘書さん
ケース5 六道骸

執務室のドアをノックする音に『はい』と返事をして扉を開けると、霧の守護者の六道さんが立っておられました。


「…おや、貴女1人ですか?」

チラリと私の後ろに視線を向けてから私にそう尋ねる六道さん。


『はい。ボスは取引先の方がいらっしゃったので応接室におられますが…お急ぎでしたか?』

六道さんを見ると書類等を持っておられないため首を傾げると、ニッコリと微笑まれました。


「いえ、特に急ぎという程ではありませんよ。○○さえ良ければ僕と休憩がてらお茶でもしませんか?綱吉君には僕が仕事中の君を誘ったと後で言っておきますから」


執務中だからとお断りしようとしたのが伝わったのか、スッと手を差し出しエスコートの形を示す六道さん。

あまりに動作が自然で様になっていらっしゃるので気恥かしくなりながらも、時計の短い針が2と3の間にある事を確認して頷きました。




天気も良く、気候も良い時期だからと促された談話室の先にあるテラスで六道さんのお薦めだという紅茶とガトーショコラをご馳走になることになりました。



『この紅茶とても美味しいです!ガトーショコラも凄く!』

口の中に広がるチョコの甘みと紅茶のほどよい苦みに緩む頬。


少しでも長く食べていたくてちまちまとフォークで切り分けて食べていると、六道さんが吹きだされました。


「クフフ…まだ半ホール以上ありますから気にせずお上がりなさい。そういう所もですが…○○は可愛いですね」

『えっ!?』

六道さんの言葉にポトリとフォークからケーキが皿へと落ちるのを見送って、一瞬で熱を持った顔を隠す事もできずその色の違う瞳を見詰め…


「○○!」

談話室の方から聞こえたボスの声に今度はフォークを落としてしまいました。



「執務室に居ないから…探したよ…」

早足でこちらに歩いていらっしゃるボスは少し呼吸が荒くて、私は慌てて立ち上がりボスの方へと歩み寄りました。


『書き置きも残さず申し訳ありません!…何か書類をお探しでしたか?今すぐ戻ります!』

「あ〜えっと…探してたのは書類じゃなくて…」


慌てて執務室へ戻ろうとすると、ボスが手でそれを制されました。



「クフフ…綱吉君は○○が心配で探していたんですよ。それにしても…綱吉君、あまり大事にして何もしないでいると横から攫われてしまいますよ?無論、僕もそっち側の人間ですからね」


「へぇ…お前に渡すわけ無いだろ?」


私を挟んでよく分からない会話で睨み合うお2人にデジャヴな私なのでした…。



相談5? 六道骸の場合



(宣戦布告か、上等だ骸…)

(クフフ…その言葉、そっくりお返ししますよ綱吉君…)

(あの…ボス、勝手に休憩してて申し訳ありません。だから…そんなに怒らないで下さい(涙目))

(えぇ!?ちがっ!全然怒ってないから!(涙目可愛いとか不謹慎なことを思ってるオレはどうしたら!!))

(……綱吉君、僕には心の声が聞こえましたよ…)


'10.9.22up



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