オレの秘書さん 責任の所在を明確に 今日はボスを始め守護者の皆さんが重要な会議のため執務室には私だけ。 ふと書類を確認していたことろ、会議の資料をボスがお忘れになっていることに気付きました。 開始時間まであと15分程。 別館の会議室なので走ればまだ間に合うはず! 私は書類を持って駆け出しました。 広いアジトを出て数百メートル離れた別館まで石畳を走ります。 流石に運動靴ではないためスピードは出ませんが、全力疾走です。 別館の玄関まで数メートルの所で丁度扉が開くのが見えたと同時に石畳で躓いてしまい、書類をぶちまけて時間をロスしたくなくてギュッと胸に封筒を抱きしめて走って来たスピードのまま倒れ込……まない!? 上がった息のまま抱きとめてくれた人を見上げて心臓が止まるかと思いました。 「転ばなくて良かった…」 微笑んでいるのは書類の届け先…ボスその人でした。 『申し…わけ、ありま…せん』 苦しく酸素を求める体を起こし、ボスと時計を見る。 『間に合って、良かったです』 胸に抱えていた封筒から書類を出し、ボスにお渡ししようと差し出すと目を細められました。 「…そんなモノ良かったのに…」 『えっ…』 書類が無くて会議が出来なくなってしまったのでしょうか、もっと早くに私が気付いていたら…。 悔しくて込み上げてくる涙を何とか抑え込みました。 『申し訳ありません、私が気付くのが遅かった所為です。どうやってお詫びしたら…』 手の震えが伝わりカサカサと音を立てる書類をボスがゆっくりと受け取られ、もう一方の手が私の頬を撫でていました。 「こんな書類やつまらない会議のために○○が転んで怪我して…顔にでも傷が残ったらオレが責任とらなきゃだろ?」 『転んだのは私が鈍くさいだけですから…あ!会議あと5分後に始まっちゃいますから急いで下さい!』 「…会議…行ってきます」 責任の所在を明確に (…資料を忘れたのは自分だから寧ろ喜んで責任取るのに…。奪われた心の責任の方に気付いてくれないかなぁ) (責任の取り方って、やっぱり解雇とか左遷ですよね…) '10.7.27up [*前へ][次へ#] |