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オレの秘書さん
ガッチガチな君


夜の9時を回ったというのに、ボスの前に積まれた書類はまだ30センチほど残っている。

ひどい時は日付が変わるまで書類と格闘されているボスを思うと、秘書の私の出来ることなどたかが知れていて切なくなる。


「あ〜肩凝った…」

ペンを止め肩を回すボスに良いことを閃きました!


『あ…あの、ボスさえよろしければ肩お揉みしましょうか?』

「えっ!?…」

ボスに触れることなど恐れ多いのは分かっているし、私が肩を揉んだところで書類が減るわけではない。
驚かれた様子のボスに失礼な事を言ってしまっただろうかと戦々恐々としていたら、にこやかに微笑まれたので安堵しました。


「じゃあお願いするよ」

そう言ってソファの方へと歩いて行かれたボスの後に着いてゆく。



『し、失礼します!』

「あ、上着脱いだ方がいいよね?」

ソファの後ろに回ってドキドキしながら肩に触れようとしたら、ボスからのお声がかかり手を止めた。


『はい。その方が凝り具合も分かりますので…』

「分かった」

するりと上着を脱がれるのに更にドキドキしてしまった私は、ボスが背を向けてくれていて本当に良かったと思いました。


『では、お揉みいたしましゅ!』

緊張のあまり噛んでしまったけど、ドキドキが半端ないので許して下さい!心の中でそう叫びつつボスの肩に触れた。


とりあえずは、凝っているところを探すため弱めに色々な所を押してみる。

首の付け根付近がとても凝っていらっしゃるようだったので、そこを重点的に揉みつつ他の部分も揉み返しがこないようにほぐす。


「上手だね○○。揉み慣れてる…」

真剣に揉んでいたので、ボスの言葉にまたドキドキが逆流してきてしまいました。


『ええええと、お祖母ちゃんの肩をよく揉んであげていたんです!針仕事と畑仕事ですごく肩が凝るらしくて…』

お祖母ちゃんの肩は本当に岩みたいだったから、私の握力はあれでかなり鍛えられたと思う。


「そっか、優しいね○○は。…あのさ、出来れば背中もやってもらってイイ?」

『えっ!?』


言うが早いかゴロンとソファにうつ伏せになられたボスに私は焦りまくる。


『ああああの…背中…とか…私なんかが触ってもよろしいんでしょうか』

どもりまくっていると何故か楽しそうなボスと目がしっかり合ってしまった。


「触らないとマッサージにならないでしょ?」

『そうですが…何というか恐れ多くて…』

私がモジモジとしているとボスが溜息をつかれた。


「…オレがボスだから?それとも男だから?」

ー思考停止。



…どっちもです、とは言えずにボスと目を合わせないようにしているとまた溜息。


「このままじゃ背中痛くて仕事出来そうにないな〜。誰か揉んでくれないかな〜」

『ぼ、ボス!何かそれ卑怯です!』

うぅと呻くとクスクスと笑われてしまいました。


「揉まれてるオレの方が○○のこと意識しちゃうんだけどな…」

『えっ!?』

意識しちゃうってどういうこと!?

「ほらほら、オレのことお祖母ちゃんだとでも思ってしっかりやってよ。…それともオレがマッサージしてあげようか?」

『そそそそそんな事は恐れ多過ぎて、して頂くにわけには参りません!!せせ背中…押させて頂きます!』


ガッチガチな君


(…オレがしたいのはソッチのマッサージじゃないんだけどな…。ま、いいか)



'10.6.25up.

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あきゅろす。
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