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For real?
]T《R18》


 目を見開き、その後頬を染めた十四郎が、「好きだ」と小さく呟いたその唇を俺はあらためて自分の唇で塞いだ。

 届いただろうか、伝わっただろうか。

 自分でも自分が信じられねぇ。今まで付き合った女達の誰にも、こんな風に想った事はねぇし、ここまであけすけに気持ちを口にした事もねぇ。
 そりゃ、付き合ってる最中、俺なりに大事にはしたと思うけど、変なプライドや気恥かしさが先に立って、つい素っ気ない態度を取っちまう事が多かった気がするんだよな。

 何度も考えた事だし、何度も自分に言い聞かせてるが、十四郎は女じゃねぇ。
 女扱いするつもりはねぇさ。だってそうだろ?強いヤツだからこそ、一人で決着つけて、一人で抱えてきたんだろ?のほほんと生きてきた俺なんかより、ずっと強ぇじゃんか、コイツはさ。

 けど、何でだろう。俺の腕ん中に居て欲しい。護ってやりたくて、欠けてる部分を少しづつでもいい、埋めていってやりたくて、思い切り笑わせて、怒らせて、そんなコイツをずっと見て行きたい。



 そう考えていると、俺の首に十四郎は腕を絡ませ、自分から唇を開いた。
 ああ、もう…。堪んねぇ…。何て健気で可愛いんだろ。
 恐る恐る俺の舌を探すその舌を捕まえ、そのまま吸い上げたあと、苦しそうに喉の奥を鳴らす十四郎に構わずその熱い口腔を弄っていく。
 それだけで重ねた身体に十四郎の中心が昂っているのがわかる。

 ゆっくり唇を離すと、十四郎の口の端から飲みこめなかった唾液が垂れているのがわかり、そのいやらしさに堪らなくなる。

 綺麗な首筋に俺は舌を這わせ、反応を見ると、十四郎はトロンとした目で口を浅く開き、もっとと強請るように更に首をさらけ出す。

「…んっ…ん……ぁっ…」

「…気持ち良かったら、声聞かせて?我慢しないで。ね?」

 耳元で囁いてやると、

「…はぅっ…ん…ぁぁっ…」

 と身体をビクリと震わせた。

「耳、感じるんだね?可愛いよ、十四郎」

 俺が更に囁くと、

「…んぁっ…だ、だって…声…声がぁ…」

 と見悶えた。ん?声?俺の?

「…俺の声、感じちゃうの?…嬉しい…」

 意地悪く囁き続ける。十四郎は目に涙を溜めながら、キッと俺を睨み、

「ず、ずるいっ…ぁっ…んぁっ…」

 顔を真っ赤にした。

 うぅぅぅわぁぁっ!!エロっ!!いや、もう俺、頑張っちゃう。 悪ィけど、もう止まれませんっ!つか、今の顔だけで、俺イケちゃいそうなんだけど…。

 さっき反応が良かった胸の突起は、まだ触っていないのに勃ちあがっていて、触って欲しいと俺を誘っているようだ。
 俺はするすると手を這わせ、指で摘むと少し力を入れ扱いてやる。

「!ふぁぁっっ!…そこは…そこっ…」

 十四郎の腰が揺れ、今までより大きな声が洩れた。

「どう?気持ちイイ?」

「…ぁふっ…んっ…ぁっ…でもっ…でもっ…」

 その声とともに、十四郎の中心からじんわり熱い液体が滲み出たのがわかり、片手でその液体を拭うと、俺はそのまま後ろの蕾に指をそっと挿し込んだ。

「あぁぁぁっっっ!」

 入り口こそキツイが、中は熱くうねっている。

「痛い?大丈夫?」

 声を掛けると、コクコクと頷いている。

 中をゆっくりまさぐっていると、少しづつ解れてくるのが分かり、グイと奥まで入れ、かき回すようにしていく。

「…んっ…ぁっ…ぎ、ぎんとき…」

「待ってね、もう少し我慢して?」

 多分、この辺だと思うからと指先に神経を巡らせ、探していると、スッと当たるものがあった。

「!ひぁっっ!あっ、ダメ…あぁぁっ!!…」

 ここか…。十四郎の反応が可愛くて、そこを攻めてやると、今までとは違う嬌声が洩れ、その中心もピクピク動き、タラタラと先走りを垂らしている。
 でもまだ一本だ。俺は優しく感じる場所を撫でながら、指を増やしていく。

「…ぎんっ…あっ、俺っ俺っ…こんなの…あっ…」

 感じてしまう自分を見られるのにまだ抵抗があるのだろう。蕾を弄る俺の手を探し、腕をとろうとしている。

「大丈夫。もっと感じて?悦くなっていいんだよ?」

「…ぁぁぁっ!俺っ…ぁぁぎ、ぎんときぃ!…」 

 そろそろ大丈夫かな。痛くしねぇように。ゆっくりだぞ、俺っ!
 俺は更に大きく十四郎の両脚を開き、指を抜くと俺自身を宛がい、有無を言わさず埋めて行った。

「!!!っ………」

 洩れ出る十四郎の声は、俺の口に塞がれくぐもった悲鳴になった。
 そのまましばらくただ、抱きしめる。その身体の震えが治まってから俺は唇を離し、

「十四郎、お前の中にいるのは俺だよ?わかる?お前と繋がってるのは俺。ね、わかる?」

 そう言った。

 涙でクショグショになった顔で、十四郎はただ頷いている。

「いくらでも感じて?俺もすげー気持ちイイもん」

 動くよ?と声を掛けて俺は腰を振り、十四郎の感じるトコロに俺自身を打ちつけて行った。

 あられもない喘ぎ声と、ジュブジュブと繋がりから聞こえる水音で、もう限界だと思った時、俺は十四郎の中心を擦り上げ、ほぼ同時に達すると十四郎の上に倒れ込んだ。


   *****


「…十四郎?あー、なんかカッコイイ事言っといて、俺、全然余裕なかったわ」

 銀時の下になったまま、そのフワフワした髪を撫でていると、くぐもった声が聞こえた。

 その声があまりにも情けなくて、思わず俺は笑いが込み上げて声を出さずにクツクツと笑ってしまった。まだ繋がったままだというのに。
 小刻みな振動で笑っているのがわかったのだろう、銀時は顔を上げて、

「おまえぇっっ!笑ってんのか、コラ!また動いちゃうぞっ!」

 と腰を振る真似をしてから、じっと俺を見て

「…そうやって、沢山笑っていてくれよ?」

 また俺の胸に顔を擦り付けた。



 銀時が言った通り、好きな相手とするセックスは気持ちも身体も解放される気がした。
 男なのに、男を受け入れ感じる事にはまだ抵抗はあるけれど、こうして抱きあっている事が幸せなんだと思える自分に少し驚きも感じていた。

 この男といて、身体を重ねていくうちに、あの記憶は本当に過去になるのかもしれない。
 そう思えるくらい、俺はこの男を好きなのだろう。

「…なぁ、十四郎?してる時、怖かった?嫌だった?」

 銀時は顔を上げて俺を見る。

「…嫌じゃなかったし、怖くなかった。お前と早く繋がりたくて、死ぬかと思った」

 そう言うと、銀時はぎゅっと俺を抱きしめた。

「よ、良かった…いや、まじで良かった」

 その声は、らしくもなく少し震えているように聞こえて、俺の心臓がまたドクンと音を立てたような気がする。

「…銀時、聞きてェ事があるんだけど…」

 ふと思いつき、問い掛けた。

「何なに?いいよ?聞いて?何でも聞いて?俺、今すっげー幸せだしぃ」

「あのな?お前、総悟と前から知り合いだったのか?」

「…何で?」

「いや、大学入るまで、総悟の口からお前の名前、聞いた事なかったし。神楽の事は始終聞いてたけど、神楽の従兄弟なんてのも俺は知らなかったしさ。あのサークル、総悟に言われるまま俺も入ったけど、はじめてお前に会った時、お前と総悟はもう知り合いだったんだろ?一体どこで知り合ったんだ?」

「………………」

「確か…新歓コンパの時、総悟がお前に俺を頼むって言ってなかったか?」


「………………」
「…えっ?…」
「…あっ……」
「…んっ?…」
「…あっ、いや、えーっと…」


 何だか嫌な予感がした。

「…何だよ…何でも聞いて良かったんじゃねェのかよ」

 ムッとして言えば

「あっ、拗ねた十四郎も可愛いよね?」

 焦った顔が隠しきれてない。

「…答えろよ…」

「あー、んーと…怒んないで聞いてね、十四郎くん?俺が今お前を好きなのはホントだってわかってる…よね?」

「…きちんと答えねェんなら、信じねェ…」

「!!えぇぇっっっ!!だって、そんな、つい今さっき、俺達愛を確かめ合ったんじゃないンデスカ?」

「いいから早く言えよ」

 冷たくそう言えば、銀時は、参ったなだのどうしようだの一人でブツブツ言った後で

「…実はね、成り行きだったの、最初は」

 観念して話し出した。

「沖田くんとお前はとにかくイイ男って評判がすごくてな。たまたま俺が長谷川さんに頼まれてサークルの勧誘のトコ座ってん時、沖田くんが俺を見つけて来たんだけどな…お前らがサークル入ったら、お前ら目当てに可愛い女の子が殺到するかなぁ、くらいで誘ってみたら…そのぉ…沖田くんに交換条件出されたんだよね?……」

「…交換条件?」

「うん、…その…十四郎くんにだね?恋愛指南をしてだね、恋のひとつもさせるんなら入るって…」

「!!!総悟も総悟だし、お前もお前だっ!アイツが何かにつけ、頼むだの、恋愛指南だの言ってたのは、その場のノリじゃなくて、お前との約束があったからなんだなっ!じゃ、その交換条件があったから俺に近付いたのかよっ!」

 頭に来て起き上がろうとした俺を銀時は慌てて押さえ付けた。

「ちょっ!待って!いや、あのね?最初はそのつもりだったんだよ?つか、コンパでお前を間近に見るまでは、そんなのブッチしようかと思ってたくれぇだったし?」

「離せよっ!お前も総悟も嫌いだっ!じゃあ、俺がまともに恋愛のひとつも出来なかったって、最初から知ってたんだな?で、お前の前だと調子が狂っちまう俺見て笑ってたんだろ、お前らっ!ちくしょうっ!お前みたいなやつなんかっ…!!」

 銀時とのセックスで気が緩んでいたのか、怒鳴っているうちにまた泣きそうになってるのがわかり、悔しくて堪らない。

「違ぇからっ!ほんと、マジでそんなんじゃないからっ!」

「じゃぁ、なんだってんだよっ!〜〜〜っ!!」

 ぶわりと涙が盛り上がり、俺の意思に反してポロポロ零れ落ちていく。

「ぁぁぁぁっ!!泣かないで、十四郎。ほんとそんなんじゃねぇの!俺ね、最初はほんと軽い気持ちだったんだけどな、あの飲み屋でお前見てから、もうお前しか目に入らなくてっ。で、俺に反応するお前が可愛くて堪んなくて…。そん時から、もう沖田くんとの条件なんかどうでも良くなってたんだってばっ!わかんねぇなら俺が教えるし、恋愛する相手は俺でいて欲しいって、んで、お前とこうなりてぇって、んな事ばっか考えてたんだよ、ほんとに。…多分俺、お前が好きだったんだよ、はじめて会った時から」

「…嘘つけ……」

「だぁぁぁっ!もぉーーっ!嘘じゃねーって。んな簡単に男抱けるか?俺、お前に会うまで、男抱きてぇなんて考えた事もないって。もし、信じらんねぇなら神楽に聞いてみろよ。ほんとだから」

「………………」

「な、ほんとだから。それにな、沖田くんは別にお前をからかうつもりで俺を炊きつけたわけじゃねぇよ?お前はあの時から、精巧にプログラムされたロボットみてぇになっちまったって言ってた。勿論、あの時が何なのか、そんな事まで沖田くんは俺に話さなかったよ?「恋」は一番感情が豊かになんじゃね?つか、抑えが効かないのが「恋」じゃん?頭で考えて「恋」なんか出来ねぇじゃん。いつもの自分らしくなくなるのが「恋」の醍醐味じゃね?沖田くんは可愛い女の子を好きになって、恋愛して、お前が感情を上手に出す事を願ってたんだと思うよ?俺がお願いされたのは、それをスムーズにするための手順っつーか、相談役だったんだよ、最初はね」

「………………」

「けど、お前見てんと、どうも俺の前だとアタフタしてるみてぇで、それが何か俺にはドストライクで…どんどんお前に惹かれてってさ。まあ自覚したのは遅かったけど」

 そこまで言うと、銀時はまだふくれている俺の額を指で小突き、

「言ったろ?」

 またニッコリ笑って言った。

「恋は些細なきっかけと偶然ではじまる?」

 俺がそう応えると、俺をまたぎゅっと抱きしめ

「正解!だからね、きっかけがどうあれ、俺は十四郎が大好きだよ?…あ、でね、出来たらコレ、もっぺんしてもイイ?」

 と連結部分を指差し、俺はそのフワフワの頭を愛情を込めて叩いてやった。



 二人が俺の知らないところで俺の話をしていた事にはまだ不満はあったけれど、正攻法で問われた所で俺は決して口を開かなかっただろうし、自分を嫌悪し続けたままだったろう。
 それでも平穏に過ごせて行けただろうが、少なくとも総悟をずっと傷つけたままだったはずだ。
 そして俺の防御は愛する事を拒否するだけでなく、愛される事、大事に想われる事すら拒否していたんだなと今更気が付いた。

 真面目なんだかふざけているんだか、わからないこのフワフワと一緒に過ごす事で、あの時より前に戻るのではなく、新しい俺になっていけるだろうか。
 自分の気持ちも大事な相手の気持ちも、大切にしていけるだろうか。いっぺんに変わる事は出来なくても、少しつづ、時間をかけて。

 総悟は何て言うだろう。きっと散々からかわれ、学校内でも曝しものにされるはずだ。
 自分が神楽に夢中だって事は銀時と俺にしかわからないようにしているクセに。
 あの愛すべき悪魔が、あんまり暴走したら、総悟に内緒で、こっそり神楽を学校に呼んでやろうかな…。すげェ面白いモンが見れるはずだ。そこまで考えて、またクスリと笑った俺に

「あのぉ〜、十四郎くん?何か一人で楽しそうなんですけど…俺も混ぜてもらえませんかね?ええとっ、とりあえずこの繋がってる部分あたりから?」

 焦れた銀時の声がした。

 何を考えていたのかは後で話す事にして、俺は「とりあえず」優しい男を引き寄せる事にした。





― T部・完 ―







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