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ハルアベお隣さんパロG


「へぇ……じゃあ隆也くんは、春から榛名の後輩なのか」

先程アパートで出会ったばかりの人物の隣りを歩きながら、俺は頷いた。
榛名とは反対側のお隣さんに当たるこの秋丸恭平さんは、素朴で柔らかな雰囲気を持つ人だった。
どうもお人好しそうに見えるのが、横にいて安心感を得られる。
さっき初めて会ったばかりとは思えないほどに、俺達の会話はスムーズだった。

「はい。もしかして秋丸さんは元希さんと友達なんですか?」

「んー、そんなとこかな。俺は違う大学なんだけどさ、榛名と同じ時期に越して来たからね」

「へぇ……」

「いやほら、榛名って人なつっこいって言うかさ、まぁ悪く言えば図々しいくらい絡んでくるじゃん。だからいつの間にか親しくなっちゃったんだよね」

苦笑混じりに話す秋丸だったが、榛名を嫌っている様子はなさそうだ。
一方の俺は、元希さんは秋丸さんに対しても同じ感じなんだ、とほっとするような残念なような思いを抱きつつ、歩道を歩く。

間もなく突き当たりに差し掛かった所で、秋丸は立ち止まった。

「右に行くとコンビニとかレンタルショップがあって、左はスーパーと本屋と、あとケーキ屋があるよ」
ここが一番近いスーパーだから、と秋丸は左に曲がって再び進む。
言われた通りその先にスーパーや本屋が建っており、さほど不便さはなさそうだ。

「徒歩圏内で結構色々あるから、アシなくてもあまり困らないよ。榛名はね、そこの牛丼屋の常連だから」

スーパーへの階段を上りながら向かい側を指す秋丸の指先を追うと、こぢんまりとした牛丼屋があった。
そこに榛名が入っていく様子を思い浮かべて、顔がぼっと赤くなる。

「元希さん、にはもう沢山お世話になっちゃったから、今度奢ってあげたいです」

牛丼屋を見つめたまま、独り言のように呟く。
すると秋丸はげえっと顔をしかめて平手を振った。

「いいってーやめなよ。榛名はさ、あれ趣味だから。もしくは寂しさを紛らわす為だよ。あ、隆也くん変な事吹き込まれたりしてない?迷惑だったらはっきり言うんだよ?」

「い、いや、本当良くしてもらってるんすよ」

すらすらと話す秋丸に対し、勘違いをされないよう大きく首を振る。

スーパーの自動ドアを抜けると、生鮮食品コーナーが目の前に広がっていた。
秋丸はカゴを手に取り、俺の方を振り返った。

「これは俺の……君を見ての忠告なんだけど」

今までの様子とは一変。
向けられたのは「マジ顔」だ。

「隆也くん、喰われないようにね」



一瞬時が止まった。






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