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ハルアベお隣さんパロ@

 
三月も終わりに近付いた頃。
人も車も通らないような道路沿いに建つ、くすんだアイボリーの外壁の二階建てアパート。
心許ない錆び付いた階段を上がりながら、俺はそのアパートの外観を眺めた。


高校を卒業し、実家から離れた大学へ通う事になった俺は、この春よりここで一人暮らしを始める事に決めた。
一人暮らしをするに当たり、とりあえず削れる所は削っておこうと思って、まず住まいとして低家賃のこのアパートに目星を付けた。
1K風呂付き、二階で日中は日当たりも良い一室を案内され、俺は二つ返事で契約書にサインをした。
その部屋はお世辞にも綺麗とは言えなかったが、男一人が普通に暮らす分には特段問題も無かった。

今日が記念すべき、この部屋で暮らす第一日目だ。

階段を上って奥から二番目の部屋の鍵を開ける。
力を込めれば引っこ抜けてしまいそうな緩んだドアノブを回し、中へと入った。
部屋の中にはすでに荷物が運んであり、まだ整理していない段ボールがいくつか積み重なったままでいる。
さて何から手を付けようか、と近辺を見回すと、複数の同じ紙袋がまとめて置いてあるのが目に入った。

――そうだ、近所の人にご挨拶しとけって言われたんだった。

先日の母親の言葉を思い出し、俺はその紙袋を一纏めに提げ再び靴を履く。
まず挨拶回りをしてから荷解きに取り掛かった方が良いだろう。
こんな崩れかけの(なんて言い方は悪いけど)アパートに住んでいるのは、一体どんな人達なのだろうか。
僅かに期待と不安を抱きながら、俺は玄関のドアを開けた。







あきゅろす。
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