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ハルアベ同棲SSB



出された料理を完食し、さあこれからが本番だと俺は姿勢を直した。

「なぁ隆也」
「なんです」
「風呂入れた?」
「ええ、入れましたけど。もう入ります?」
「うん、入る」
「はあ、どうぞ」
「隆也も入るんだろ?」
「え?まあ、入りますけど」
「うん、だよな」
「だからなんです?」
「うん、まあ、そうだよなーって思って」
「?俺片付けするんで、お先にどうぞ」
「いや、そうじゃねぇだろ!」


じれったい会話に俺は思わず机を叩いて身を乗り出し、隆也とにらめっこの形になる。
隆也は何がなんだか分からないといった表情を浮かべた。


「風呂!同居!隆也、空気読め空気!」
「はあー?」
「いや、ほら、風呂とか……一緒に」
「入、らねえよバカ」


俺の言わんとした言葉は隆也が引き継ぎ、そして粉砕した。
隆也はがっくりうなだれる俺にお構いなしに食器を台所へと運び、そそくさと洗い物に取りかかってしまった。


「お湯冷めるんで、早くして下さいね」
「……うーい」


わざと台所の前を通り過ぎる所から服を脱ぎだしたりしてみたが、隆也は目もくれなかった。
まるで倦怠期夫婦だ、と寂しく思いながら風呂場へ行き、シャワーの蛇口を捻る。



うちの風呂場には、シャンプーとボディソープが一本ずつある。
同棲初日の風呂上がり、隆也と同じ匂いだ、と抱きつきながら言うと無言で蹴飛ばされたが、未だにそれを見ると荒んだ気分も和らいでくる。


近々どうにかして隆也も浴室に連れ込んでやる、と密やかに野心を抱きながら、俺は立ち込める湯気の中に入っていった。






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