離れ離れになってみて、気付いた事は沢山あった。
【それは俺が愚かだったからさ】
担任に頭下げてわざわざ見せてもらった入学者名簿に、アイツの名はなかった。
何も言わずにこの学校に入学した俺だったが、まさかこんな事態は想定外。
頭の中が真っ白になった。
「榛名はどうしてそう自分の思った事が絶対だって信じられるのさ」
今のパートナーには、あっさりとそう吐き捨てられた。
そう言えば、何故自分はこうも自信たっぷりに「アイツは絶対此所に来る」と信じて疑わなかったのだろう。
「その隆也って子には、どこの高校受けるかも言ってなかったんでしょ?」
「……、そんなん簡単に…調べられる、し…」
「誘ってもないんでしょ?」
「ぜ…絶対来るって思ってたんだよ!」
あークソ、と頭をガリガリ掻けば、横からクスクスと笑い声が聞こえた。
「笑うなッ!」
「いやだってさ〜。つくづく馬鹿だよね、榛名は」
「誰が馬鹿だ!」
アイツが入学して来るのを心待ちにしていた1年間。
アイツとまたバッテリーを組める事を楽しみにしていた1年間。
それをパァにされてとてつもなく腹立たしかったが、同時に何だかどうしようもなく虚しかった。
「どーせ『アイツには俺しかいない』、とか思い込んでたんでしょー」
「あぁーウルッセェ!だったらなんだ!」
隣りで尚も笑い続ける奴に、本気で一発くらわせてやろうかと拳を構えた。
だがそれすらもただひたすらに虚しくて、俺は自分に素直に
「あぁ…マジかよ…」
と丸まって頭を抱えた。