[携帯モード] [URL送信]

小説(パロ)
act.1
今にも泣き出しそうな空が、泣き顔を見られたくないかのように、灰色の雲で姿を隠していました。申し訳程度に、朝の光が雲間から差していましたが、それも今にも消え入りそうです。

そんな朝のことでした。鏡の前に立った黒ヤギさんは、充血した目を見て、眉間にシワを寄せていました。

「ひっでぇ顔…」

寝不足の頭が、じわりと痛みを訴えていました。いつもより長めに顔を洗い、水をつけて寝癖のついた髪をとかすと、黒ヤギさんはふと思いついたように、髪の分け目を変えてみました。
初めは横分け、次にセンター分けでおでこを出し、オールバックにも挑戦してみました。けれどもどれもしっくり来ません。

「…やっぱ、いつものが一番だな」

結局、いつものヘアスタイルに戻し、黒ヤギさんはようやく、満足そうに笑みを浮かべました。
今日は、黒ヤギさんにとって特別な日でした。昨日の自分とは違う、新しい自分になったような、そんな晴れ晴れとした気持ちがしていました。


[*前へ][次へ#]

2/8ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!