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小説(パロ)
act.4
「…ばーか、チュウされるとでも思ったか?」

と、次の瞬間、白ヤギさんに鼻をつままれた黒ヤギさんは、顔をしかめました。目を開けると、白ヤギさんのいたずらっぽい顔がそこにありました。

「さっきのクラッカーの お か え し」

そう言って立ち上がり、手を差し出す白ヤギさん。黒ヤギさんは、ちょっと恥ずかしそうな表情で、その手を取って立ち上がりました。

「仕返しって何だよ…オレはっ……」

負けず嫌いなところのある黒ヤギさんは、恥ずかしいところを見られて、引き下がれなくなっていました。
黒ヤギさんは、白ヤギさんの襟首を掴むと、そのままキスをしました。

「…誕生日プレゼントだっ。返品きかねぇからな」

少し乱暴で、口と口がぶつかるようなキスでした。白ヤギさんは不意を突かれて、目を白黒させます。

「え?…は?……えええっ!ちょ、十四郎!今のアレ!今のもう一回っ!」

我に返った白ヤギさんは、慌ててそう言いました。折角の機会だったのに、いきなりのことに驚いて、よく覚えていなかったからです。

「もう一回なんてあるか!」

黒ヤギさんは、顔を真っ赤にしてそっぽを向きました。白ヤギさんは、ちょっと残念そうな顔をしましたが、すぐに笑みを浮かべました。
自分のことを好きだと自覚してのキスでなかったことは、白ヤギさんにも分かっていました。けれど、黒ヤギさんが思いつきや衝動だけで、こんなことはしないと白ヤギさんは知っています。
だから、黒ヤギさんが自覚していなくても、少なくとも自分に好意を抱いてくれているということが分かって、とても嬉しく思いました。

「ちぇっ…じゃ、ケーキ食べさせてくれよ。それで手打つからさ」

子どもっぽくふくれてみせる白ヤギさんに、黒ヤギさんが「仕方ねぇな」と呟きました。それから、お互いに顔を見合わせると、大きな声で笑いあいました。そして、一緒にケーキと料理を食べながら、日付が変わるまで語り合ったのでした。


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