二つの空を仰ぐ
1
次の日、2人の体に外傷は無く目を覚ましたと言うことでとりあえず退院することになった。
だが、獄寺君と山本の表情は晴れていない
……多分、オレも。
「えっと、大丈夫?」
「あ、はい。大丈夫です」
「大丈夫に決まってんじゃーん!!超余裕だし?」
2人が記憶を失ってから性格も一変した。
紅夏は大人しく弱気で常に敬語を使うお嬢様…みたいな性格。
梨舞は明るく元気で無邪気な性格。
最初、こんな性格になったって時は…鳥肌が立った…
「…あの、……ツナ君?どうしました?」
「ほっときなよ紅夏チン♪大したこと考えて無いって、ツナっちは!」
…前言撤回
梨舞は失礼な所は変わってないや
「ならいいんですが…その、ツナ君……顔、悪いですよ?大丈夫ですか?」
…前言撤回パート2
紅夏も失礼なところ変わってないんだけど
なんで2人して失礼なところは変わってないんだろう
「おい梨舞」
「何だい、獄っち!」
「ご、獄っち……?!」
…獄寺君の顔が引きつってるよ…
あの山本ですら冷や汗かいてるし…
それに対して梨舞は万遍な笑みで獄寺君の隣を歩く
「…本当に憶えてねぇのかよ」
「うん!全ッ然憶えてないのだ!ハッハッハッー!」
病院を出る前、記憶喪失だと2人には伝えた。…記憶喪失以前の性格も。
すると紅夏は「すみません。ごめんなさい」とペコペコと頭を下げて、梨舞は「すっげー!ボクがそんな性格とかありえねー!!」と笑っていた。
「あの、ツナ君…」
「な、何?」
「…本当にごめんなさい」
「えっ」
「私、頑張ります。思い出します……」
1人称まで変わって本当に中身だけが違うと感じさせられた。
「気にすることはねーぞ」
「リボーン君…」
突如、オレの頭に乗ってきたリボーン。
「ゆっくりでいいんだ」
“じゃなきゃ、お前等自身が壊れちまう可能性があんだからな”
リボーンの呟いた声は多分、オレにしか聞こえなかったと思う…
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