二つの空を仰ぐ
3
“ほら、挨拶しろ。2人とも”
“…………………”
“日向葵ですっ!”
“ほら、棗も”
“……日向、棗”
“白石…梨舞です”
“ほら、梨舞ちゃんもこれからは家族だからな!”
“うん!わぁー、葵嬉しいな!梨舞ちゃんは何歳なの?葵より小さいけど…”
“え、……8だけど”
“えぇ?!ききき、聞いたか棗!!”
“……………ちび”
“な、ちびじゃないし…”
“え、梨舞ちゃん、お兄ちゃんと同じ年なんだー”
“……ちびちびちびちび”
“な、棗がでかいだけだって”
“お、今梨舞ちゃんが棗を呼び捨てにしたぞ!”
“なら葵も呼び方変えるね?えーと、梨舞お姉ちゃんね”
“え…?”
“ほら、お兄ちゃんも!ちびじゃなくて…”
“……………”
“お兄ちゃんってば!そんなに梨舞お姉ちゃんが可愛いからって照れないの!”
“…照れてねぇ”
“どっちでもいいから、ほら!早く!!”
“…………………梨舞”
“ん?何、棗”
“…………………(ぷいっ)”
“お兄ちゃん照れてる〜!あ、葵のことも呼んで?”
“え?………葵…?(首を傾げ)”
“キャーッ!可愛い!!”
“梨舞ちゃん!否、梨舞!俺の事も…”
“あー……お父さん”
“か、可愛いいい!!”
“………大丈夫か?この家族……(ボソリ)”
“何か言った?梨舞お姉ちゃん!”
“な、何でも無いよ。葵”
あの記憶を忘れたら
こんな幸せな記憶も
忘れることになるんだ。
そんなこと
絶対に嫌だから…
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