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二つの空を仰ぐ
1


「あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛っ!!」



紅夏が頭を抱え、叫ぶ。

ボクは紅夏と違い、強い頭痛と目眩に襲われた。
そして、鮮明に流れてるあの頃の記憶―――――

















ゴォォォォォォッ



家一つ…否、町全体が炎に包まれている。

その町の中には落雷した後のような丸焦げな木も数本見られた。



「…………あ……あ…」



その町全てを見渡せる丘で目を見開き、腰をぬかす少女。
年齢は恐らく7、8歳。



「何で……何で?!」



少女は叫ぶ。



何で…?
私はただ…あの木達をもっと光らせたかっただけなのにっ…!



少女の背後には逃げ切れた町の人達が近づいてくる。


「町の放火魔め!」

「疫病神だ!」

「化けモンだ!鬼神だぁぁあ!!!」



皆は近くで拾ったらしい棒を少女に向け、鋭く睨んだ。



「……あ、、わ、たし…は」

「うるさい!お前は自分の両親をも殺したんだぞ!!」

「…私…が?」

「そうだ!この火の中を必死にお前を探しながら死んでいったんだよ!」

「嘘……嘘、嘘よ!!」

「嘘じゃねぇ!!

「嫌、嫌、嫌ぁぁあ!!!」



そう叫んだ瞬間、少女の意識は飛んだ。













「んっ………」



目を覚ますとそこは一つの部屋。

少女はガバッと起き上がった。



「ここは…?」



すると、ドアがガチャリと開いた。



「お、起きたかお嬢ちゃん!」

「あ、あなたは…?」

「君…覚えてる?昨日のこと」



少女は恐る恐るコクリと頷く。



「それで、気を失った君を連れてきて介抱させてもらったんだ」

「ありがとう…」

「それで、もし君がいいならば…ここに住まないか?」

「…へ?」

「あ、君と近い…下手したら同じ年の子供も2人いるんだ。どうかな?君がいいなら一緒に暮らさないか?」



少女はその言葉に思い切り頷いた。



「あ、君の名前は?」

「梨舞。白石梨舞」

「梨舞。だね?俺は…お父さんでいいよ。今から子供達を読んでくるね」



それからは、その二人の子供…棗と葵に出会い、アリスの存在を知り、ルカと出会い、学園に入り……







   ・・
そんなボクの辛いけど暖かかった、悲しい記憶の一部が早送りで流れてきた。





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