二つの空を仰ぐ
2
「それにしても
母さんいつの間にこんなに集めてんの?」
ツナは手にたくさんのチラシを持ちながら
“何が護身用だよ”ってぼやいてる
「お前を雇ったときもチラシ見てだったよな」
「そうなの?」
「うん」
そういえば、僕らツナたちのこと何にも知らない
「フゥ太がいればツナに向いた格闘技ランキング作ってもらえんのにな」
「いらないよ
そんなランキング!」
誰だよフゥ太って
「それか了平のボクシング部に入ればいーじゃねーか」
「じょ…冗談じゃないよ!
スパルタで殺されるよ!」
また
知らない名前が出てきた
後で教えてもらおう
「! 風紀委員だ!!
あそこにも…!」
「ほんとだ」
ツナの言うように通学路にはたくさんのフランスパンがいた←
ごっついな
「そりゃあんな事件が多発してるんだ
ピリピリもするぞ」
「あんな事件…?」
「えっ、梨舞気づいてなかったの?」
「悪いか」
僕はツナを軽く睨んだ
「いや…」
「で、事件って」
「この土日で風紀委員8人が重症で発見されたんだぞ
やられた奴はなぜか歯を抜かれるんだ
全部抜かれた奴もいたらしいな」
「何だそれ
人の歯を集める趣味でもあんの?」
「違うと思うけど…
やっぱ不良同士のケンカなのかな」
「違うよ」
ツナの意見はあっさり否定された
「ヒバリさん!!」
「ちゃおっス」
「いや…ボクは通学してるだけで…」
何故かツナが弁解し始めた
ドモッてるし
「身に覚えの無いイタズラだよ…
もちろんふりかかる火の粉は元から絶つけどね」
「やっぱヒバリさんこえーっ」
どの辺が?
僕だったら消し炭にしてるから←
「ところで紅夏はいないのかい?」
「忘れ物をとりにいったよ」
「えっ…何で紅夏…『緑〜たなびく並盛の〜』
ツナの言葉をさえぎるようにして何処からか歌が流れてきた
「ツナ、この歌何?」
「並中の校歌だけど…」
ピッ
電子音がしたかと思うとヒバリが携帯を持っていた
うわー
こいつの着歌、校歌かよ
ツナの方を見るとショックを受けたような顔をしてた
「じゃあ失礼します」
「君の知り合いじゃなかったっけ」
この場を立ち去ろうとすると又も引き止められた
「笹川了平……やられたよ」
「……!」
するとツナはすぐに走り出した
此処でヒバリと二人になるのもいやだから
ツナについていこうと思い僕もツナの後を追う
それより、さっきも出てきた『了平』って名前
ツナたちは知り合いみたいだけど僕は知らないんだよな
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