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二つの空を仰ぐ
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今日の梨舞なんでこんなに機嫌悪いんだろ
あたしにあたるなよなー

ツナにあたれば良いのに←


「梨舞ー
 今日って体育あったっけ」

「あったと思うけど…
 それがどうかしたの?」


梨舞が首を傾ける


「んー…運動着忘れたなぁ、と思って」

「どうしたの?紅夏」


前を歩いていたツナとリボーンが立ち止まって後ろを向く


「運動着忘れた」

「ふーん…どうでもいいね、それ」

「あたし取り入ってくるから、んじゃ」


それだけ言い残してあたしは走ってきた道を戻る



























ドンッ


梨舞達と分かれて、あと少しで家に着くというところで
角を曲がった瞬間、人にぶつかってしまった


「わっ…ごめん、大丈夫?」

「大丈夫ですよ」


ぶつかったのは男子
変な頭をした他校の生徒


「あなたこそ大丈夫ですか?」

「大丈夫でーす
 こう見えて頑丈だから
 じゃ、あたし急ぐから」


再び走り出そうとすると腕をつかまれて口を塞がれた


振りほどこうにも相手は男
女のあたしじゃ力で負けるって







口をふさいだ布からは大嫌いなあの薬品のにおいがした
学園に入る前に何度もかいだことのある匂い





次第に瞼が下がってきて体の力が抜けていく





ヤバッ…なんて思いつつ



この薬品なんて名前だっけ…なんて暢気に考える




あぁ、そうだ確か

『クロロホルム』だ











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