二つの空を仰ぐ
3
「ん…」
目を擦り、ムクッと体を起こす。
まだ眠い…
でも…
「何だったんだろ…あの夢」
純白の世界に1人、ボクが立っていた。
ボク1人かと思えば、遠くには人影があり、それが段々近づいてきて…
目の前に来たと思えばその人は男で、赤と青のオッドアイ。
極めつけはパイナップルに似ている髪型をしていて、クフフ…と笑っている。
変な人。
それが第一印象だった。
「どんな夢だよ…」
欠伸を噛みしめ、制服に着替えながら考えてみたけれど訳が分からなくなり、あきらめた。
ネクタイを緩ませて、ブレザーでもなくセーターでもなく、少し大きめのカーディガンを着る。
そして、昨日あった制御アイテムの深紅と青いピアスを右に。黄色と緑のピアスを左につけた。
「…オリンピックみたい」
耳に付けたピアスを見て呟く。
「何が『夢の中で人に出会えるなんて珍しい』…だよ」
本当、意味分かんないし。
何なのアイツ…
オマケに『貴方の事、気に入りましたよ』ってまで言われて…それで目が覚めた。
枕元に置いて寝ていたアルバムを机に置くと同時に…
「うー…」
紅夏がモゾモゾと体を起こす。
「………お…はよ?…梨舞」
「自分で起きれたんだね。すごいすごーい」
「…貶されてる?褒められてる?」
「さぁ?自分で決めればいいじゃん。馬鹿じゃないの」
「…何か今日は機嫌悪い?」
「別に。起きたなら、さっさと支度しろ」
ボクは“先に行く”とだけ言って、部屋を出た。
「お、おはよ!梨舞」
不意に後ろから声をかけられ、振り返る。
そこには、ネクタイを結んでいるツナの姿。
「ん」
「今日は起きれたんだね!」
「悪い?」
「昨日下に出ればいい気になりやがって」
「……………………先行く」
本能的にヤバイと感じ、目を逸らして足を動かした。
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