銀魂夢小説「我も紅 」
職務質問
「女?」
思わず土方は眉をひそめた。
「ああ。しかもまだ若い」
「タチの悪ィ男に捕まって泣きつきに来たんですかィ?」
マジックミラーの向こうでは、髪の長い女が机の上に突っ伏している。
真選組には似つかわしくない罪人。思わずその場にいた全員が不審そうに近藤を見た。
もしやお妙さんに振られ続けた結果、誘拐犯として犯罪に手を染めてしまったのでは…
土方と沖田の手が刀に伸びる。
「実はあの子は小説家でな。ある作品の描写が幕府のお偉いさん方に都合が悪かったらしい」
「ハッ…どんな理由かと思えば」
「汚い大人の考えそうなことでさァ」
土方は煙草に火をつけ、「で?」と近藤に続きを促す。
「ああ。初めは新米の隊士を使って話を聞くつもりだったんだが…」
「土方の頭は飾りかー?俺らが呼ばれるってことは相当手こずってるってことじゃないですかィ」
「チッ…」
土方にもそれは分かっていた。しかし面倒な話は正直知らないふりをしたかった。
「仕方ねぇ、行くか」
相変わらずマジックミラーの向こうは、静まり返っていた。
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