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「つーことで、俺が今回の任務に当たらせていただく奈良シカマ、」
『知っておる。早く行くぞ』
「え、ちょ、あんた1人かよ?」
『主には他に誰か見えておるのか?面白い眼であるな』
「いや、あんた仮にも一国の姫なんだろ?なんの護衛もなしに…」
『そんなことをしたら目立つではないか』
よく言う。
小さく毒づいた言葉は、"姫"に聞かれることなく風にかき消された。
火影室を離れ向かった先は、里の出入り口。堂々と聳え立つ門は一体何人の人を出迎え、そして見送ったのだろう。
この門を見る度に、また見られるだろうかと心に湧く不安は忍ならではのもの。
自然と視界に入る門に、今日もまたそんな想いを抱くのかと考えていた矢先、門よりも先に目に入ったのは同じ歳くらいの少女だった。
整った完璧な顔立ち、とは言わないまでも周りを取り巻く空気は目を見張るもの。事前に聞いてはいたものの、一国を治めるともなるとこうも違うのかと、彼女の身を包む朱の羽織りから目が離せなかった。
「何、見てたんだ?」
『忍風情が口を慎め』
「…すんません」
確かに気質はある。あるのだが、見た目はあどけない少女。
任務でなければ敬語を使うだなんて有り得ない。ましてや話したのは今が初めてではないのだ。
「…あー、さっき聞いていた通り、火影から直々に任務が下っ…りましたんで。」
『私が嘘をつくとでも思っていたのか?』
「いや、そういう訳じゃねぇ…ないです」
『………』
初めて話したのは、丁度任務の報告を終えた後。ぶらりと里を歩いていたところ、着いてこいと言われ、半ば強制的に火影室へと逆戻り。
そこで言い渡された新たな任務は、姫君の護衛と近辺調査。
ついさっき、ご苦労。暫く休んでていいぞ。とか言ってなかったか?
「一応護衛任務なんで…1人でウロウロしないでくれ…下さい」
『…不器用な奴。もうよい、普通に話せ』
眉をひそめて呆れたように、そう言った少女は再び門を見つめた。
俺には見えない何かが見えているのだろうか。だとしたらそれは瞳術なのだろうか。
もしかしたら俺は…めんどくせー事に巻き込まれているんじゃないのか、と本日何度目かの溜め息が漏れた。
『…これを、』
「え?」
『この門を、見ておった。来る者を拒まず、去る者を追わず。何とも心強いと思わないか?』
そう言う少女、もとい姫は無表情で。何を考えているのかわからない。
…やっぱり。
難癖ありそうだ。文字
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