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『おい。そこの、』
「……え、俺?」
『主は木の葉の忍じゃろう?着いてこい』
「は?」
忍を目指してアカデミー、下忍、そして先日行われた中忍試験。
まだ忍になったばかりだというのに数々の任務をこなしてきた気がするのは、うちはサスケ奪還任務のせいだろうか。
中忍初の任務は失敗に終わったものの、誰一人失うものが無かったことは何よりであった。
そして今。
己の忍道に突き進んでいる下忍が一人、修行のために木の葉を離れ、1年の時が流れた──
「5代目…どういうことっすか」
「おいシズネ。茶」
「綱手様、彼の話を聞いてあげて下さい」
コトリ。
言われるのと同時に湯呑みを机に置く様は、だてに側にいないこと示している。
溜め息と共に口に出した台詞には、いつものことだと諦めの様子がみられた。
「…仕方ないだろう?これは任務だ」
「任務なのは分かってます。俺が言ってるのはその内容が…」
「五月蝿い!さっさと行かんか!」
「…いくらなんでも俺1人で護衛は、」
「命・令・だ!」
まるで地響きのような。そんな音を鳴らせて睨みを利かしている目の前の火影に、これ以上は無理だと口を紡ぐ。
その判断は正しかったようで、隣に立つシズネが申し訳なさそうに頭を下げている。
この人も苦労してんだな。と目を伏せた中忍、もといシカマルは、差し出された書類を受け取り、火影室を後にした。
「シカマル君…大丈夫でしょうか?」
「あいつは頭も切れる。大丈夫だろ」
「それでも今回の任務は下手をすればBランクですよ?」
「まぁ、な…だが中忍を1人、それが向こうの要求でもあるんだ」
「でも…って、まさか綱手様、」
「借金をチャラに…してくれるらしい。さすが金をため込んでいるだけはあるな」ズズッ
「呑気にお茶啜って…!あぁシカマル君、ごめんなさい…」
「シズネ、おかわり」
「綱手様!」
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