雑草と水分
「藍染様…お呼びでしょうか」
ルイスを現世に置き去りにした次の日。
学校というものに遅刻しないよう、俺が直々に起こしに行こうかと考えているときだった。
藍染様から「話があるから来るように」とお声がかかった。
ルイスのことは後回しにして、俺は藍染様のいる部屋に向かった。
「待っていたよ、ウルキオラ」
椅子に座り、微笑んでいる方が俺たち十刃を束ねている。
「あの子はどうだ。うまくできているかい?」
藍染様は目を細めて、そう言う。
「わかりません。ですが、あの馬鹿がスパイだとは思わないでしょう」
「確かに彼女は潜入してもバレないだろう」
口に手を添えて笑う。
「私は不思議に思っているんだ」
「何がでしょう」
「君が彼女を従属官にしたことだよ、ウルキオラ」
「………」
「そんなものはいらないと言っていた君が突然彼女を連れてきて雑用をさせるから命じてくれと言った時は本当に驚いたよ」
藍染様は昔を思い出すように話を進める。
こんな話をするために俺は呼ばれたのか。
「藍染様…」
「あぁ、すまなかったね。」
「いえ…」
「本題に入ろうか」
「はい」
そして藍染様は命令を下す。
ただ俺はこの方の命令に従い、その通りに行動するだけだ。
「判断は君に任せるよ。」
「わかりました」
藍染様に頭を下げてその部屋から出た。
*****
『ほえーーー』
今日は晴天。
そしてウルキオラ様に会わずに2日経ちました。
私のお腹も精神もなにもかもが悲鳴をあげています。
今日は早起きをして食べられそうなお花摘んで食べたのになー
話は変わって昨日の夜も公園で野宿をしていたんですが…すごい所に遭遇してしまった。
突然、私達と似たような破面っぽい霊圧を感じたりしました。
いや無いだろうけども、もしかしてウルキオラ様が迎えに来てくれたのかなぁーとか思っちゃった私です。
よく考えたら私、ウルキオラ様の霊圧ってか気配ってかわかるの忘れてた。
その力を感じる方に向かったらなんとなんと石田って人が虚っぽいのに襲われてるじゃないですか。
私はどっちかと言えば虚側なので手出しはできなかったんですが。
なので様子を見るには持って来いな木のてっぺんから見下ろしてた。
石田って人は道具を使って虚と戦っていたみたい。
でもあの虚は私達に近いようだったからすぐ回復して、ピンチって時に光る矢が刺さってあっという間に虚は倒されたんですね。
もう一人人間が現れて石田となんだか話していたようだけど詳しくは聞こえなかった。
って言うことがあったんですよねー。
そう他にも結構沢山すごい力を感じましたし、これは我が愛しのウルキオラ様にお知らせしなければーとか思ってるんですよ。
あぁ、ウルキオラ様。
ルイスにはあなたが足りません。
『てか腹減ったんじゃぼけぇええ!!!!!』
はぁう、絶叫したのでさらにお腹がなってしまった。
「なに、叫んでんだ羽賀」
『あ゛ぁ!?』
振り返るとそこには派手な色の頭ともじゃもじゃ頭の巨人がいた。
「機嫌が悪そうだな」
『げっ、黒崎、茶渡くん』
「げってなんだよ。てかチャドはくん付きで俺は呼びきりかよ」
『いちいち細かいことを気にする男ですね。そんなのモテませんよ』
「なんか最初とキャラ違うな、おい」
「そんなところも素敵です!」
黒崎と茶渡くんと違う声が聞こえてきた。
そして背後に気配を感じた。
思わず、拳がでた。
「ギャァア」
「ケイゴ!?」
「自業自得ですね」
『………はっ』
背後に知らない人に立たれると、つい手が動く。
『ごめんなさい、大丈夫ですか?』
「なれてます!」
『あぁ、そう』
慣れてるなんてなんだか可愛そう。
いつもこんな扱いをうけてるのね。
『てか、あなたたちなんでここに居るの?』
「それはこっちの台詞だっつの。お前、なに叫んでたんだ」
黒崎がしかめっ面でこっちを見る。
「腹が減ったとか言ってなかったか?」
茶渡くんはもじゃもじゃした前髪で見えないけど多分心配してくれてるのかな。
『ちがーぐるるるるる』
「違わねえだろ」
『うるさい!』
なんてタイミングでなるんだこのお腹は!?
ちくしょー、恥かいた!
これもあれも全部、ウルキオラ様が迎えに来てくれないのがいけないんだ!
「おい、何やってんだよ。お前も座れよー」
『行動早っ』
私が一人悔しがっている間にも、黒崎と茶渡くん、その他二名は床に座り込みお弁当を広げている。
なんだ、これ!いじめか!!
『なんで私が座るんですか』
「一人で食うよりいいだろ、てかお前弁当は?」
『無いですけど?』
私が答えると全員の動きが止まる。
「お前、そんなに気にするような体型じゃねえぞ」
「ダイエットはよくない」
おいおいおいおい…、何故真顔で私はこんな事言われているんだろうか?
『真顔で喧嘩売っているのかな、君たちは。買ってやろうか?血見る覚悟はあるのか?』
あ、やべ。
つい本音が…。
「ん」
『なんですか。このパンは』
急に黒崎が私にパンを突きつける。
「やるよ。食う物無いんだろ」
『え…くれるの?お金無いからお礼とかしませんよ』
「いらねーよ、別に」
「む」
『え、茶渡くんもくれるの?しかも飲み物!』
こくんと頷き、コーヒー牛乳というものをくれた。
『ありがとう!』
お礼を言わなきゃ駄目ですよね。
だけどお礼を言った途端なんだか動かなくなった。
なんか私おかしいこと言ったかな
「き、気にすんな」
『?うん』
黒崎が何か言ったっぽいけど、食べるのに必死で聞き取れなかった。
しかし、コーヒー牛乳はいい!
なんでこんなに美味しいのか。
今度ウルキオラ様にも美味しいって教えてあげなければいけないなー。
今日の昼休み、天気は晴れ。
お腹は満腹、あとはウルキオラ様の愛情が足りないだけです。
あぁ、でもこんなこと言ったらきっと頭踏まれてグリグリされるんだろうなー。
てかいつ迎えに来てくれるんですか、ウルキオラ様
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