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空腹と野宿



潜入はきっとうまく成功した私です。

自己紹介をうまく出来たんですよね。
あとで、ウルキオラ様に自慢してみよう。

自己紹介の時に目標のオレンジ色の男子と目があった。

やっぱりウルキオラ様の方がかっこいいなーとか思ったらにやけちゃった。

えっと誰だっけ越智先生?に指示された席は窓際の一番後ろの席。

「るいすちゃん」

『あ、井上さん』

なんと職員室に連れてってくれた女の子が前の席だった。

「まさか、このクラスの転校生だなんて思わなかったよ」

『偶然だね、これからよろしく』

「うん!こちらこそ」

なんだか明るくていい子っぽいな。

休み時間、それは転校生に質問する時間なのか私は一瞬にして沢山の人に囲まれた。

「どこからきたんだ」とか、「可愛いね、もしかしてハーフなの?」とか。

もうちょっときちんとした設定を考えてれば良かったな。

適当に答えていると休み時間は終了し、そのまま授業になる。

なんだろう授業って眠くなりますね。


「るいすちゃん」

『…ふぇ?』

「よく寝てたね。もうお昼休みだよ?」

『お昼!?うわ、怒られる!井上さんありがとう!』

「え、あ…えぇ!?るいすちゃん!」

気がつけばお昼って、どうするよ!
ウルキオラ様待たせるなんてむっちゃ怒られるよ。

私は誰も見てないようなので人がいないところから響転で移動した。

『ギリギリセーフ!?…ぎゃふっ』

屋上に両手を挙げて立つとその直後背中にいつもの蹴りがはいる。

「セーフじゃない。俺を待たせるなんてお前は何様だ」

『えっと、ルイス様?』

「死ね」

『ちょっ、ギャァァア!!』

さらに蹴りが入ったかと思ったら、踏まれてグリグリと。

なんすかこれ!?

これ端から見たら、私一人で屋上の床に張りついて頬をすり付けてるただの変人じゃないですか!?

「安心しろ、ただの変人だ」

『あー、良かった!…って良くないですよ!』

てか何故私の心の呟きを!!
以心伝心!?もはや愛!?

「死にたいか?」

『申し訳ございませんでした!!!』

私は正座をして床に頭をつけた。
もうやだわ、この人の下。


「で、なんだ」

ウルキオラ様が話を本題にうつす。

『えっと、オレンジ色の髪の男を発見しました。』

「そうか、ではそのまま観察を続けろ」

『はい』

「俺は向こうに戻っている。」

『はい、……え?』

何を言っているんだよ、このお方は。

「虚圏に戻ると言っている」

『え、私は!?まだ学校終わってないですよ!』

「任務を続けろ」

『うぇぇえ!?待って下さいよ!私も虚圏帰ります!』


任務を続けろって私は夜は帰るって昨日言いましたよね!

『てか夜は帰るって言いましたよね!?』

「お前は任務が終わるまでここにいろ、起こすのがめんどくさいしな。ここの暮らしに慣れるのも任務だ」

最後のめんどくさいってなんですか!?

「と言うわけだ。またストレス解消に踏みつけにきてやるから安心しろ」

『ちょっ、ウルキオラ様!!』

気がつけば目の前から消えていた。

『有り得ない』

ギュルルルル

うわ、なんて空気の読めないお腹なんだろうか。

でも私は人間のお金とか持ってないし…

ため息しか出ない。

ウルキオラ様が消えた場所をひと睨みして、教室に戻った。

それからの授業は空腹との戦いだった。

ボーっと窓から外を眺めていると外をいちゃいちゃする幽霊とかばっかり。

ちょっとうらやましいな、とか思っちゃうあたり私はおかしいのかしら。


「るいすちゃん」

『…………』

「るいすちゃん」

『うぉっ、井上さん顔近っ』

「あ、ごめん。呼んだけど気づいてくれなかったから」

『ごめん、ちょっと考え事してて』

井上さんは私によく話しかけてくれる。

いい子だなーと今日何度目か分からないけど思う。

「もう放課後だよ」

『もうそんな時間か』

「帰らないの?」

『もうちょっとしたら…』

いやぶっちゃけ帰る場所ないから帰れないのだけど。

「そっか、じゃあまた明日」

井上さんはそう言って手を振って教室から出て行った。

夕方の光が教室の中を赤く染める。

『綺麗…』

それからも誰もいない教室でボーっと時間を潰す。


気がつけば、下校のチャイムがなる。

私は靴に履き替えてそこら辺をぶらぶらと歩く。

途中、公園をみつけた。


『ベンチに昼寝に手頃な感じの木もあるなー』


よし、今日の寝床にするとしよう。

『今度、ウルキオラ様に会ったら文句言ってやる』


空を見上げる、夜空にキラキラと輝く星。

これでご飯と布団があれば最高なのに。

そう思わずにはいられなかった。







あきゅろす。
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