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誓いと暴力


「今日から君は彼の部下だ」

『え…』

「いいね」

『…はい』


最初はそう。ただの命じられただけ。
でも今は違う。この方だけにお仕えしようと誓った。


『―――さま…私は…あにゃた…だけに…かい…ますー』

「…………」

『これからは、ずうっと…ぎゃっ』

気持ちよく眠っていたと思う。本当に気持ちよーく。
しかし快適な睡眠は最悪な形でぶち壊された。

「いい加減起きろ、邪魔くさい」

『いたたた。もう蹴らずにもっと優しく起こして下さいよ』

私の眠りをぶち壊した人は次に私がくるまっていた布団を奪った。

「何度も起こした。それから蹴られたくなかったら勝手に人の部屋で寝るな」

『だって私寝るとこないですもん』

「外で寝ればいいだろう」

『私だって女の子ですよ』

「はっ」

私の快適な睡眠を豪快な蹴りでぶち壊したのは私の上司であるウルキオラ様。

かなりのドSだ。いやもしかしたらドが4つくらいつくんじゃないかなとか思っちゃうほどドSだ。
今もほら私の女の子発言にかわいそうな子を見るような、いやもうなんか救いようねぇなっていう憐れみの目で私を見ている。失礼な
しかも聞きましたか皆様、ウルキオラ様ったら鼻で笑いましたよ?

まあ、ウルキオラ様からドSをとったらただの顔色が悪い破面だろうけど。

「お前はよほど殴られたいらしいな。いやなんなら踏みつけてやろうか?」

『なんでそういうことになるんですか!?何がどうなって殴るもしくは踏みつけるの考えが思いつくんですか!?』

「さっき訳の分からん事を呟いていただろう」

『声に出てましたか?すみません』

「………」

ぎろっと私を睨みつけた後、大きなため息をついた。

「まぁ、いい。準備しろ。出かけるぞ」

『どこに行くんですか?』

「行きながら説明する」

そう言って私から奪った布団を片付けに部屋の奥に歩いていった。

私は髪をとかして三つ編みにくくり直し、首に布のマフラーのように巻いてウルキオラ様のあとを追いかけた。

  * * * * 


連れてこられたのはザエルアポロさんのお部屋だった。

『あのウルキオラ様…何故に?』

私の問いかけを完全無視して扉をノックした。

「ウルキオラだ」

「どうぞ」

「入るぞ」

『えぇ、ちょっと!?』

返事を聞くなり首の布を引っ張られ、私はこけそうになるわ、引きずられるように部屋に入った。
しかも引っ張られたかと思ったら、投げるように離されてなんかわからないうちに私は床と外国人の挨拶をした。

『いったい……!もうなにするんですぎゃぁあ!?』

「いらっしゃい、ルイスちゃん」

ウルキオラ様に文句を言おうと思って振り返ると後ろから肩を掴まれた。

ちょっと振り返ると間近にザエルアポロさんのお顔があって恐怖、驚きともにMAX

『ぎょえええ!?』

「怖がることはない。君は大事な実験体(サンプル)だからね。今は痛くしないよ、今は…ね」

『うっ…ウルっウルキオラ様、実験体ってどういうことですかぁ!?』

「あれ、まだ聞いてなかったのかい、それはそれはかわいそうに…」

耳元で囁くように恐ろしいことを言うザエルアポロさん。
私が助けを求めて見たウルキオラ様はとても楽しそうに笑っていらっしゃる。

こんな上司を持った己を恨みたい。猛烈に。

『ウルキオラ様の鬼ぃぃぃぃい!!!!』

「うるさい、黙れ」

「さて冗談はここまでにして、本題に移ろうか」

「そうしろ」

出来るなら冗談なしで本題に入ってほしかった。



あきゅろす。
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