レベルアップ？
合宿初日も無事終わり、今は跡部の別荘の一室で楓ちゃんとくつろいでます。
楓ちゃんとお泊まりなんて小学生以来。
「芽依ってさ」
『にゃに？』
家から持ってきていたケーキを食べていると楓ちゃんに話しかけられた。
「長太郎くんの事好きなんだよね」
『べぶしっ』
「汚いなー…」
『ななななな!?』
「え、違うの？」
何を言い出すのこの子はー。
全く恥ずかしいな。
『た、ただの幼なじみだよ。』
「本当に？じゃあ質問。」
『う？』
「問一。長太郎くんがもし芽依の事を放って他の女の子と話してたら？」
『え……、飛び蹴りする』
「なんだかモヤモヤしない？」
あ…、そういえばずっと前楓ちゃんと長太郎が二人だけで話してたらなんだかイライラした。
気がする。
『うー…、するかも』
「ふふ、じゃあ問二。長太郎くんと話していたらドキドキしたりしない？急に恥ずかしくなったり」
『す…るかも』
「じゃあ、最後は…長太郎くんに抱きついてごらん。なんともなかったら芽依と長太郎くんはただの幼なじみ」
『はへ!?』
その頃ー…
「長太郎」
「なんですか？」
「お前、芽依に言わないのか？」
「何を…」
「好きだって」
「ななななな!?」
…こいつら似てるんだな。
「何言ってんですか!?」
「だって、言わねえで一緒にいるのって辛くねえか？」
「べ、別に辛くなくはないです…けど。もし、伝えて今の関係が壊れるのは…嫌なんです…。」
「大丈夫だと思うけどな」
「…それにあいつ馬鹿ですし、勘違いしそうだし…」
「あいつさ、自分の事は鈍いのに人の事は有り得ないぐらい鋭いんだよなー」
「え…そうですか？」
「ああ、特に楓の事は。それに俺、あいつのおかげで楓に告白出来たんだ。」
『あんたってさ、そんな奴だったんだね。』
「うっせえな」
『いいさ、楓ちゃんは私の彼女にする！』
「いや、無理だろ!?」
『うっせえ、なよなよロン毛のばんそうこ!?』
「はぁ!?」
「少しもありがたみが感じられないんですが？」
しかも最後、疑問形!?
「はは、まぁその後色々あってさ。」
「ただのお節介なだけですよ」
「まーな。」
ま、気長に頑張れよ。って宍戸さんに言われた。
ー…次の日。
『長太郎！』
「何ー……ってはぁ!?」
ぎゅっ
「おぉー」
『む、無理だっ。べぶしっ』
いきなり人に抱きついたかと思ったらバタンとその場に倒れてゴロゴロ転がり始めた。
いったい、何なんだ？
*****
「抱きついてごらん。なんともなかったらただの幼なじみ」
『そうか…、ただの幼なじみか。うーん…』
「どうしたの？」
『自分で言ってなんだけど…"ただの幼なじみ"って響きがなんかやだ…』
「……………」
『ん？』
「ふふ、本当に自分の事は鈍いんだね。」
『鈍くないよ？別に』
「芽依…」
『？？』
「それが、恋だよ」
『これが恋!?』
(なにすんだ、馬鹿！)
(ご、ごめんにー)
(謝るならちゃんと謝れー!!)
(ぎゃあぁぁ!?ギブギブー!!)
(あいつ等可愛いな)
(本当、二人とも照れて可愛い)
(てか、芽依が本当にやるとはな)
(ねー)
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