Drrrr!!
初登校
なんて晴れやかな朝なのだろう。
入学式日和だ。
今年の春は寒いから桜は蕾のままだけどさ。
ちょっと残念だなぁと一人思う。
入学式に桜の花びらが舞い散るのは乙女の夢だ。
しかも私は今年で高校生。
髪についていた桜の花びらを美男子がそっと取って微笑む…。
そして恋に落ちるのがもはや鉄板だ。
少女漫画で散々使いまわされてよれよれになっているネタである。
まあ私は出会いなんか期待しちゃいないけど。
そばを黒いバイクが通り抜ける。
アレが都市伝説なのだろうか。
風で髪が少し揺れた。
運がいいなあ、私。
スタスタと歩きながら考えごとをしているうちに学校が見えてきた。
新設校だから校舎が新しいのが遠くからでもわかる。
設備も整っているという話だ。
桜の木が敷地内に植えられているが、花はいまだ咲いていない。
やっぱり残念だ。
時刻が迫り人が集まってくる。
みんな身に着けているのは学ランにセーラー服。
古き良き青春のユニフォームである。
その中に周囲よりも頭一つ大きい金髪が見えた。
軽く見繕っても180はあるに違いない。
その頭は高校デビューというやつだろうか。
そう考えるとちょっと微笑ましくなる。
そう、例え金髪君がモーゼのように人の群れを割って突き進んでいたとしても。
例え金髪君が自販機を校舎内に持ち込もうとしているとしても。
あれはきっと高校デビューなのだ。
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