Drrrr!!
始まり
昔から人より少し目と耳がいいことが自慢だった私。
それ以外にこれと言って取り柄のない私。
日常がどうしようもなく嫌だった私。
叔父さん達に無理を言って池袋に引っ越して来た。
あの人たちも内心喜んでるんだろうな。
いい厄介払いができた、って。
そうならそうと言えばいいのにね。
叔父さん達の眉の下がっただらしない顔を思い出した。
グーッと伸びをして気持ちを入れ替える。
もうあの人たちは関係ない。
何をしたっていい。
それこそ好きなものを好きなだけ。
そう考えると気分が高ぶって叫びたくなる。
「自由だぁあああああ!!」
窓辺に止まった鳥が驚いたのか羽音を立てて飛び立つ。
風圧で舞い上がったパンフレットには来神高校と書かれている。
それを目の端にとらえると思わず笑みが浮かんでしまう。
明日からどんな生活が待ってるんだろう!
人がいっぱいいる学校だって聞いた。
でもきっともう大丈夫。
高校生になるんだからやっていけるはずだ。
そうだ。
荷造りが終わったら池袋ウエストゲートパークに行ってみよう。
池袋人はみんなこう呼ぶんだってチャット友達に教えてもらったんだ。
なんかかっこいいよね。
鼻歌交じりに段ボールを軽くつま先で蹴ってみる。
ようこそ池袋へ。
そうみんなが私のことを歓迎してくれているように思えた。
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