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愛し合ったりしてみたい (R18)





沢村が御幸に想いを告げたのは早朝の屋内練習場だった。
その告白に思わず笑った。告げるなら好きだ、とか色々あるだろうに。
沢村は一瞬ムッとしたがやはり可笑しくなったのか吹き出した。

そして二人、笑いながら抱き合った。
御幸が沢村の腰に腕をまわし後ろで組むと、沢村も同じように御幸の腰に腕をまわし後ろで組んだ。
お互い、悪戯っ子のような顔だったのを覚えている。
そのままおでこをくっつけ合ったり、頬にキスをしたりしながらとにかく可笑しくて笑っていた。


それが三週間前の雨の日だった。


御幸は焦れていた。沢村が応えてくれたのは喜ばしいが、何も進展しない。
あれほど余裕で待っていた自分が嘘のようだ。
人間てのは欲深いね、そう呟きながら5号室に向かう。

「沢村いる?」
「はい、なんスか」
「ちょっと顔貸せよ」
「はい」

倉持からの攻撃防御の為、無理矢理の敬語が笑える。
部屋を出ると沢村が不思議そうに聞いてきた。

「何の用だよ」
「途端にこれだよ」

御幸は笑いながら沢村を自分の部屋に促し後ろ手に鍵をかけた。お膳立ては済んでいる。

「お邪魔しまーす、てアレ?誰もいねぇの?」
「うん、二人だけ」
「あ、そう…」

一瞬で警戒の色に染まる沢村に苦笑する。いい加減観念しろと思う。
胡座をかいて向かい合って座り口を開いた。

「さて、本題」
「いきなり?」
「うん。沢村ね、今日でもう俺のものになっちまえ」
「予想通りだな、アンタ」
「もう待てねーもん」

御幸は思う。コイツはこういった事にはいつだってきっかけが必要なのだ。ならば自分が作ってやる。

「さぁ」

笑顔で沢村に向かって両手を広げ促すと吹き出した。

「何、その飛び込んで来い的な」
「まさにソレだよ」
「バカじゃねぇの」

二人で笑った。いくらでも笑わせてやると思う。躊躇も何もかも笑い飛ばせる程。

沢村のシャツの裾を掴んで頭から抜く。
髪がクシャクシャになり、沢村は笑顔のまま眼を閉じて頭を振った。
スローモーションに見え、映画のワンシーンみたいで綺麗だと思った。

今度は沢村が御幸のシャツの裾を掴んで頭から抜いたが、外してなかったメガネごと取れて飛んだ。
可笑しくてしばらく二人で笑い転げた。
ひとしきり笑った後また向かい合って、キスをした。

ベッドに移動し、沢村を横たえる。

「狭い」
「仕方ねーだろ」

なかなか目を閉じようとしない沢村が可愛くてしばらく見つめ合った。
またフッと二人で笑んで唇を触れ合わせる。
ゆるく開いた唇に舌を差し込むと少し沢村がビクッと動いた。
その舌を絡め取ろうとすると逃げていく。追いかけっこの最中に上顎を舌先でくすぐった。

「は…っ」

初めて漏れた声に沢村自身が驚いたようだった。
御幸も少なからず驚いた。想像以上に、官能的。

首筋に、胸元に唇を這わせていくと沢村の呼吸が浅く早く変わっていく。
胸の突起を含み舌で転がすとくすぐったそうに身をよじった。下へ進みスウェットと下着を重ねたまま脱がせる。
骨盤の窪みに唇を這わせると沢村が大きく跳ねた。そのまま留まり唇で食むような愛撫を繰り返す。

「あ…っ、やめ、ろよ」
「…だって、ココ感じんだろ」
「ちが、う…っ」
「違わないから」
「は…、あっ」

沢村を無視して続ける。
言葉とは裏腹に感じている事を主張しているそれをゆるゆると扱く。

「あ、やめ…っ」

止めるどころか口に含んだ。沢村の体がしなる。

「も、たの…む、から」

頼まれたって止められる訳が無い。この時を待ち侘びていたのだ。
そのまま続けてめちゃくちゃ感じさせてやりたいと思う。
この後は少し無理を強いてしまうのだ。
だが初めての他人から与えられる刺激に耐えられず沢村はすぐに達した。
激しく胸を上下させこれでもかと強く閉じられた瞼に恥ずかしさと悔しさが滲んでいる様が愛しい。そのまま強く掻き抱く。

「沢村、少し辛いかも知んねぇけど…」
「…いいよ、平気」

強がる姿にまたたまらなく愛しさが込み上げくちづけた。


「く…っ」

潤滑剤で濡らしてから指を侵入させる。
異物感と少しの痛みで沢村が一瞬御幸の胸を押しやろうとし、すぐに止めた。
手を降ろしてシーツを握りしめる。
平気、と言った手前出来ない仕種だったのだろうと思う。

(まったく、律義っつーか)

自分の知らない沢村がどんどん現れて来てそのどれもが、愛しい。
何もかも見逃したくないと思った。

十分とは思ったがやはり初めての衝撃に沢村が目を見開いた。

「あっ…い、てぇっ」
「悪りぃ、も少し…」

御幸が挿入を終えた頃には沢村の固く閉じられた目の端に涙が浮かんでいた。
痛みによるものだと嫌でも解るから、せめて少しでもラクになるように。
萎えた沢村のものに手を延ばす。
ゆるい刺激を与えながら触れていると少し固さを取り戻して行く。

「んっ、…は」

感じて力が入った時、また自身の中にある圧迫感が新たになるようで眉をしかめる。
繰り返すうちにラクになってきたのか表情が柔らかくなった。

「…沢村、動いていい?」
「い…、よ」

苦しくても応えてくれる沢村に感謝しつつゆっくり動き始める。

「あ、あっ」

また痛みが襲っているのだろうかと心配になった。
ゆるゆると弄っていたのを少し強めに手を上下に動かし先端に指で刺激を与える。
明らかに声が変わってきた。

「は…っあ、あ」

もう少し堪能したかったが、沢村の事を考えると早く解放してやるべきと思った。
終わりに向けて動きが少し激しくなる。
シーツを握り締めていた沢村の手が、いつの間にか自分の腕に添えられているのに気付き目眩でも起こしそうな感覚を覚える。
突発的な激情のままに動き二人同時に達した。

荒い呼吸を整えながら沢村を抱きしめた。

「ヤベー幸せすぎる…」

沢村は切れ切れの吐息の中で、バカじゃねぇと一言だけ漏らした。
また二人で抱き合ったまま笑ってキスをした。




今日のこの感情を愛しさを忘れないと思った。
自分達も少しずつ大人になっていくけど。
お互いにいつまでも自分が隣にいる事を願いながら。


沢村を抱きしめながら想う。


この先色んな事があったとしても、全部俺が楽しいものに変えてやる。



なぁ沢村、ずっと、お前と。





end




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