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夏を待つあいだ





梅雨の晴れ間の暑い日。
ああ、不快指数の高い日はこんなだったと思い出すような、久しぶりの高い気温と湿度に嫌気がさす。
汗で体中が濡れているのに、やたらに渇いてしかたない。こまめな給水と塩分補給、それに慣れた体は夏を越すたびに確かに体力がつくのがわかる。

もっと、もっと上へ。

そんな、誰に対しても恥ずかしくない思いと混在するアイツへの疚しい思い。
噴き出る汗を拭いながら、アイツを見た。もう、こういう時に目で追うのが癖になっている。
氷を入れたバケツにタオルを浸して、首やら頭やらを冷やしている姿は他の部員となんら変わらないのに。
ああそんな、熱い息を吐き出しながら気持ち良さそうな顔を晒すもんじゃない。
まるで、アノ時みたいなカオになっちまってるだろ。
こんな時に抱き合ったらきっと互いの汗で、触れ合う肌も身体にまわした手も滑っちまうに違いない。
ああそれもまた官能的で、どろどろに溶け合うような気分を味わえるかもしれない。
互いの汗と体液にまみれたアイツはどんなにいやらしいか、太陽の下で笑うアイツしか知らない野郎どもを憐れに思う。
かと言って見せる気なんぞ毛頭無い。おれ以外、想像するのすら許せない。
アイツのナカがどんなに熱く絡みついてきて、自制心を保てなくなって腰を振りたくっちまうほど気持ちいいかなんて、おれしか知らなくていい。
イく時に小さく叫ぶ唇の間からのぞく赤い舌も、焦らして焦らしてついに我慢できなくなってねだる時の甘えた声も、背中に立てた爪の痛みすら、おれだけのものだ。

「御幸センパイ」
「なんだよ」

なにか企んでるような笑みを浮かべて近寄ってくる可愛いおれの獲物。
氷みたいに冷たい指をすばやくおれの首にあててきた。

「つめてっ」
「へへっ冷たいっしょ! 氷握ってたんすよ」

コイツの考えてることくらいわかってはいたけれど、それでも冷たさに首をすくめると、面白がってまた指であててくる。
まったくコイツときたら人の気なんかしらないで、平気でこんなことをして。
その冷えた指先が触れた部分から、おれの身体中に熱が伝わって、乾くほどにあつくなった。

「コラやめろって」

今ここでみんなの前で犯すぞ。おれはそれでも構わねえけど。羞恥のあまり暴れても、それを上回る快楽を与えてやろうか。
どこをどうやったら抵抗が弱まって、溢れるほど感じちまうかわかってんだぜ。
見た奴らの後始末が面倒だからやらねえけど。
同じように冷たい指を突っ込んで、掻き回してやろうか。ああでも、おまえのナカは熱いからすぐに指もぬくまっちまうな。
どっちにしてもすぐヨくなっちまって、思わず腰が揺れちまうんだろ。
指摘したら恥ずかしそうに眦を赤く染めて睨んでくる、その瞳を見たらもう止まらない。
熱い肉を掻き分けて、凶悪なほど張り詰めたおれのを突っ込んでおまえの気持ちいいところをガンガン突いて、声も抑えられないくらいに。
そうしたらぎゅうぎゅうに締め付けてくるから、最高の気分で一滴残らずおまえのナカに注ぎこむ。

はあ、と熱い息を吐いたらおれの首にあてていた指をようやく離して、嬉しそうにわらう。
頭の中でひとしきり犯されて啼かされていたなんて。
今夜ぜんぶ実行してやろうと舌舐めずりしてることなんて。

そんなことなど、なにもしらないで。



end




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