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loving DARLING





「合コン?」
「来週の金曜。頼むよー。チアの子にどうしてもって言われちゃってさ。いつも応援してもらってるんだから断れないだろ。」
同輩の拝むような仕草が嫌な感じだ。
「俺、恋人いるって。」
「知ってるよ。高校の頃からのだろ。お前イケメンのくせに堅えな。別に出るだけならなんでもないだろ。」
絶対来いよと俺の返事も聞かずに行っちまった。
追いかけようにも俺ももう時間がない。
その、高校の頃からの恋人に久しぶりに会う。
俺は大学生、ヤツはプロだ。休日が重なることなんて滅多にない。
明日完全にフリーだという沢村にちゃんと寮に外泊届を出してこいよと念を押して、駅で待ち合わせをする約束をした。
ミーティングに時間がかかった上に呼びとめられてあんな話をされたから少し遅くなったが約束の時間には間に合いそうだ。
合コンは明後日断ることにして。
それにしても沢村に合コン出るって言っても「そうなんだ」で済まされそうな気がするなあ。
あいつのヤキモチってあんまりねえよな。
高校の頃は降谷ばっかり構ってずるいとか言ってたけどそれも野球の話だし。
まあヤキモチ妬くようなネタがないほど俺が脇目も振らなかったてのもある。
それは沢村も同じことだとうぬぼれでなく思っている。
俺が嫉妬することがなかったわけじゃないがそれも誰かが一方的に沢村にちょっかいをかけただけだし。
同じ場所で生活しなくなってから三年目で、お互い誘惑が多いのに大した純情だよ。
駅につくと改札の近くに沢村の後ろ姿が見えた。
あいつ俺がどっちからくるかわかってねえな。
それにしても沢村の絶対遅刻しない習慣は高一の野球部初日のトラウマかね。ははっ。
後ろから忍び寄っておどかそうと近寄るとその前に沢村の前方から女が声をかけてきた。
「沢村選手じゃないですか。」
「……ああ!」
ファンかと思ったら沢村の「ああ」とほとんど同時に俺もその女が見覚えのある顔だということに気付いた。
女子アナじゃないか。
まあここは都心だ。居てもおかしくはないがすごい偶然だな。
プロ二年目の沢村は一軍での登板も多くなってかなり認知度が上がった。
女子アナに顔を知られてるのは当たり前か。
沢村が礼儀正しく挨拶をする。それに女子アナは笑顔を返した。
「私沢村さんのファンなんですよー。今度一緒にお食事でもいかがですか?」
なんだって?
「あ、ありがとうございます!」
もう一度沢村が頭を下げると女子アナは手を振って去って行った。
それを見送っている沢村の肩に手を置いた。
「御幸!」
一瞬嬉しそうに笑顔を浮かべるが、俺が変な顔をしていたんだろう、すぐに怪訝な顔になる。
「な、なんだ?」
「いいから歩くぞ。」
ちらほらこっちを見てる人たちがいるから腕をつかんで歩き出す。
沢村は言われるままに横に並んで歩き出すが、こちらが気になるんだろう。すぐに尋ねてきた。
「どうしたんだよ御幸。何かあった?」
「……」
たまにコイツの救いようのないバカさが恨めしい。
自分が俺を怒らせたのにも気付いてないんだからな。
「なに女子アナにナンパされてんだよ。」
「はあ?」
「しかも俺の目の前でよ。」
「ええっ今の!?」
「他にもされてんのかこの野郎。」
「いやいやいや違うだろ。今のって……偶然会って挨拶して、なんていうのガ、ガイコウジレイってヤツだろ。」
「社交辞令な。女が、気のない男にそんなこと言うかよ。」
「そ……」
「しかもお前了解してるし。」
「してねえよ!」
「ありがとうございますって言っただろ。」
「あれは俺のファンだって言ったからだよ。」
「断ってねえじゃん。」
「う……」
俺が本気で怒ってるのが分かったんだろう、だんだん沢村の眉が下がって情けない顔になってきた。
それでも俺は沢村の腕を離さないし、沢村も足を止めない。
なんていうかもう……こういうの全部ひっくるめて惚れた弱みとでも言うのかね。
「まったく俺は合コンすら断ろうってのによ。」
「合コン?」
「同じ大学のチアの子たちとさ。来週の日曜日に。」
「行くのか?」
「どうしようっかなあ。」
沢村の反応を窺うためにわざとそう言ってみた。
「んな所行ったら御幸モテモテじゃん。なんかすげームカつく。」
……ふーん。
一応ヤキモチは妬くんだ。
そうこう言い合ってるうちに店の立ち並ぶ通りを抜け、俺の住むアパートにたどり着き階段を登る。
二階なのでエレベーターは使わないのはいつものことだ。
「あのなあ、俺だってお前がモテたりするのはイヤなんだよ。いやお前よりずっとだな。女だろうと男だろうとお前にちょっかい出すヤツにムカついてんだから。」
「御幸が?」
意外だと言わんばかりの沢村の表情に呆れる。
こいつは高校の頃俺がどれだけヤキモキしてたか気付いてなかったのか。なかったな。
部屋の鍵をあけ、ドアを開く。
「おじゃま、わっ」
沢村が礼儀正しく挨拶しようとするのを強引に中に押し込んだ。
「それじゃあ沢村にはどれだけ俺が嫉妬深いかじっくり教えてあげよう。朝までフルコースでね。」
「……え」
沢村が意味を悟って青ざめるのと俺がドアの鍵をかけるのとほとんど同時だった。














「月の満ち欠け」萱野のはら様よりフリー小説を頂いて参りましたv
二つ目ですvこちらも攫おう攫おうと思っていてようやくv
大学生×プロです。なんて素敵な設定でしょうv
沢村が先にプロなんですvもう萌え滾る!!しかも女子アナに嫉妬する御幸とか!
もう私にとって御幸の嫉妬なんて御沢における最高のスパイスですよ!!!
また沢村が自覚無しに天然入ってたりvツボ満載です。
萱野さんありがとうございましたvこれからも宜しくお願い致します!










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