[携帯モード] [URL送信]
LESSON 2 (R18)






何でか解らないけど、キッチンで母さんとチョコまみれの俺。
ようやく出来た柔らかな丸いチョコにさらにチョコをくぐらせて網の上を転がしてる。
何遊んでんだと思ったら、トゲトゲしたよく見るチョコになっていった。

「母さん」
「何」
「同じ事してるのに母さんの手は何でそんな綺麗なんだ。俺の手はチョコファウンテンにくぐらせて今から食べるみたいになってる」
「知らない。舐めないでよ、汚いから!そんなの一也くんに食べさせないで!」
「わかってるよ」

そんなに兄ちゃんが気に入ってんのか母さん。イケメンなら何だっていいんだな。
そもそも俺がチョコ作りとかこんなに面倒臭い作業をしてるのは、その兄ちゃんのせいだ。
先週兄ちゃんの部屋で勉強を教えて貰った後に、当然のようにあちこち弄られてイかされてグッタリしてる時。
兄ちゃんが悪魔みたいな笑顔で言った。悪魔なんて見たことないけどきっと兄ちゃんの笑顔みたいな顔の筈だ。

『栄純、来週はバレンタインだ。わかってるな?』
『わかってる!多分クラスの女子に義理チョコ貰えるから超楽しみ!俺単純にチョコ好きだからさぁ』
『わかってねえじゃねえか馬鹿』
『いって!何で叩くんだよ!』
『馬鹿だから』
『ワケわかんね!』
『いいか、俺達の関係は?』
『隣同士の幼な…いって!いてえよ!』
『てめぇもう一回体に叩きこんでやろうか、快楽をよ』
『あ、そういう意味でか!こっ恋人だろ、うん』
『じゃあ、わかんだろ』

というやりとりにより、今非常に面倒臭いことになってる。
俺の、『別に兄ちゃんが俺にくれてもいいんじゃね?』と言うセリフに返事はなかった。
お世話になってる兄ちゃんに感謝の気持ちを込めてチョコを渡したい、と言ったら母さんがやたらとテンション高くなって超協力的で困る程だ。
イケメン好きだから息子の俺に関する事より一生懸命になる。

「栄純、そっちはチョコくぐらせたらこっちの砕いたナッツの上に転がして」
「おう!あれ母さん、手のチョコついてナッツの上にさらにチョココーティング!」
「手でやらないでよ。その残りの分にはココアパウダーね」
「うわすげえ!売ってるやつみてえ!…母さんのは」
「……栄純のは、何かゴツゴツしておっきいね…」
「うん……ま、いっか!」
「そうね!初めてにしちゃ上出来!冷やそ!」

基本的に似てる親子だから何事も深くは考えない。
ラッピングは明日学校終わってから、渡す直前にして今日はおしまい。ラッピングっつっても母さんが用意した箱に詰めるだけだけど。
大好きなチョコを味わえなかった俺はボウルやスプーンに残ったチョコを舐めて怒られた。





□□□





「母さんこれ適当に詰めていい?」
「えー、せめて綺麗に並べ…ああ不揃いだから並ばな…いいんじゃない?適当で」

母さんは三種類を三個ずつで九個入れてたけど、俺は七個しか入らなかった。母さんがラッキーセブン!と小躍りしてる。
父さんはそんなに甘いもの食べないから、あれは母さんのものになるのか。少し貰おう。

「じゃ兄ちゃんとこ行ってくんね」
「一也くん今日いるの?バレンタインなのに」
「なんか今日は家から一歩も出ないっつってた」
「え、じゃあチョコなんて一つも貰ってないのかしら」
「さあ?チョコ持ってて危ないから玄関から行くわ」
「晩御飯は?」
「兄ちゃんとこで食べる!行ってきまーす」

外に出ると雨混じりの風が吹き付けてかなり寒い。隣でもコートが必要だったかも知れない。
今日はデートしてるカップルばかりだろうに生憎の天気で大変だな。

「お邪魔しまーす」

相変わらず開いてる玄関から勝手に入ると、リビングからおばちゃんじゃなくて兄ちゃんが出てきた。
家から出てないのは本当みたいで、セットしてない髪と部屋着っぽいざっくりとした黒のVネックのニット、それにラフなパンツでダルそうに廊下を歩いてくる。
同じ部屋着でも俺はトレーナーにスウェットだ。えらい違いだな。

「おう」

チラリと俺の手にあるチョコの箱を見てから顎で上がるように示す。偉そう。

「栄純、鍵かけとけ」
「わかった。おばちゃんは?」
「バレンタインディナーで親父と待ち合わせっつって出掛けた。帰りは遅えよ」
「仲良いな!あれ、てことは兄ちゃん晩飯は?」
「お袋がロールキャベツ作ってった。後で食おうぜ」
「やった!おばちゃんのロールキャベツはクリームシチューで煮込んでるから好き!」

兄ちゃんは肩越しに振り返りフンと鼻で笑った。小さく「ガキ」と聞こえたが気にしない。気にしてたら付き合えないからね!
後に続いて部屋に入ると、兄ちゃんはドカリと部屋の真ん中に座りローテーブルに肘をついて俺にも座るように目で促してくる。
声に出そうぜと思ったけど、ちょっと機嫌悪そうにも見えるからやめておく。
長年の付き合いにより”さっさとチョコが欲しいけど栄純なんかのチョコを待ってたとか思われたくねえ”状態かな、と思う。
さっさと渡すに限る。極々たまに大人になる俺。

「兄ちゃん、これ」
「ん?」

俺も座りながら兄ちゃんにチョコの箱を渡す。”ん?”って。さっきチラ見したじゃん。

「チョコ。母さんに手伝ってもらって作った」
「は?作った?手作りかよ」
「うん」
「まじで手作り?何お前作ったの俺に。へえ、そんな手作りする程。ふーん。ってかよく作れたな馬鹿なのに」

兄ちゃんがおかしい。チョコの箱を手にしてなんか挙動がおかしくなってる。え、大丈夫?
何だろうこの反応。てっきり「市販品は不可」みたいな感じかと思ったから手作りにしたんだけど。

「開けんぞ」
「いーよ」

やたらと丁寧にリボンを解く兄ちゃんが不気味だ。この俺のドキドキは嵐の前の静けさ的なアレか。

そっと蓋を開けた兄ちゃんがそのまま何も言わず無反応で、心配になり顔を覗き込んだ。
兄ちゃんはそのままの形でチョコを凝視していた。そう、凝視だ。

「……兄ちゃん?」
「………あ?…っ、んだよ、何この不格好なの」

兄ちゃんが少し慌てて俺の作ったチョコをけなす。
形は悪いけど味はいいんだぜ、多分。だって本体はメイドイン母さんだ。

「つーかこれ岩かよ。トリュフなのに何でこんなにでかいわけ」
「何かでかくなったんだよ」
「一口じゃ入らねえし!」

何かイライラしてきた。何だよ寄越せって言うから作ったのに、喜ばれこそすれ何けなされてんの。

「なあ、嫌なら食わなきゃいいじゃん。形が気に食わないなら母さんが作ったの貰ってくるし、無理して食うなら俺が食う」
「別にんな事言ってねえ…って、ああっ!」

兄ちゃんが持ってる箱から一個つまんで、口にほうり込んだ。
ナッツのを選んだのは、わざとだ。昨日からこのナッツのが食べたくてしょうがなかった。
ほら、美味い。

「てめぇ…っ!出せコラ!俺のだろうがっ!」
「ふひ、出へはひ」

こんなに味わってんのに出せるか。チョコ出したらどうなるかくらいわかんだろ兄ちゃん。

「馬鹿かてめぇ!こ、の…っ!」

無視してごっくんと食っちまったら、いきなりガシッと両手で顔を挟まれた。
何、と声を出す間もなく唇を塞がれて、強引に舌が捩込まれた。

「ん、んぅ…っ!?」

兄ちゃんの舌が咥内を暴れ回るようにうごめいて、チョコの後味がなくなっていく。
余すところなく舐め回されたあとにようやく舌が出て行った。
兄ちゃんが満足したように口のまわりをペロリと舐めて、それがやたらとエロく見える。

「な、何すんだよ…いきなり」
「てめぇが俺のチョコ勝手に食うからだろ」
「だってボロクソに言うからムカついた」
「………あー…、………悪かった」
「……!」

兄ちゃんが謝った!何、なんで!?
余りの衝撃に口を開けて固まったままの俺に兄ちゃんが再び口付けてくる。
今度は優しく、啄むように。

「まさか、手作りとか思ってなかったから焦った」
「何で。買ったやつのがよかった?」
「ちげえよ馬鹿。…あー、言わなきゃわかんねえよな、この馬鹿は。馬鹿だもんなクソ」
「何か今無性に腹立った」
「嬉しかったんだよ」
「………………………は?」
「んで、テンションやたらとアガったのが妙に気恥ずかしくてよ、つい」

さっきから初めて聞く言葉に驚きっぱなし。兄ちゃんが今、嬉しかったと。そんで喜んだのが恥ずかしくて……って、それ。

「……え。それって、照れ隠し…」
「黙りやがれ」
「う、わ…っ!」

その場に押し倒されて兄ちゃんが覆い被さってきた。あれ、これだって照れ隠しじゃねえの、と言おうとした唇はまた塞がれた。
今度は優しく、柔らかく絡ませてくる。もうかなり慣れたこの感触。
舌先を擦り合わせて兄ちゃんの舌が俺の舌を愛撫するように動く。俺の好きな所を舌先でなぞられる度に腰から背中がゾクゾクする。

「ん…っ、ん」

トレーナーの裾から兄ちゃんの手が入ってきて、肌を撫でられる。
唇を離すと、胸あたりまでトレーナーが捲られて臍の辺りからゆっくりと舌で舐め上げていく。
ビクビクと跳ねる体を押さえながら、兄ちゃんの舌が胸の突起を捉えた。
転がすように舐めたり弾いたりを繰り返されて吸われた時にはもう、腰のあたりからせり上がってくる快感を誤魔化せない。
解っているかのように、兄ちゃんの手がスウェットの中に入り込んで撫で上げた。

「あ…っ」

兄ちゃんが耳に唇を寄せて吐息を吹き込むように甘く囁く。

「なあ……これ、舐めていい?」
「……っ、な…」

ここ何回か、ステップアップのようにされてきた行為。
兄ちゃんが俺のを舐めたりくわえたりする度に、俺が余りにも驚くから先に言葉にしてるようだった。
でもそんなの言葉にされる方が羞恥を煽っていたたまれない。それも兄ちゃんの手かも知れないけど。
現に、有無を言わさず下着ごと剥ぎ取られて兄ちゃんが見下ろしてる。

「……兄ちゃん、見んな、って…」
「いいじゃねえか、俺のだ」

そのまま俺のに手を添えて言葉通り舌を這わせた。ゆっくり、俺の反応を確かめるように。

「あ、……あぁっ」

舐め上げて先端に舌を差し込むように動かされる頃には声も抑えられない。
それを何度か繰り返された後、兄ちゃんの熱い咥内に包まれた。その瞬間は息が詰まり腰が跳ねる。

「……っ、んん、あっ…」
「気持ちいい…?栄純」
「あ、あぁ…っ」

思わず腕で顔を隠したら兄ちゃんの手が伸びてきて、その腕を払われた。
兄ちゃんはこういう時に俺が顔を隠すのを嫌がる。その顔を見てえんだよと言われてさらに隠したくなった。
兄ちゃんがくわえたまま顔を上下に動かして俺を追い詰めていく。

「……なあ、言えよ。栄純…」
「あ、あぁ…兄ちゃ…気持ち、い…っ」
「……っ、」

それが合図のように兄ちゃんは先端をくわえたまま手で扱いてきた。
めちゃくちゃ気持ちよくて、これをやられたら俺はもうひとたまりもない。

「あぁっ、兄ちゃん…っ、俺もう…出、」
「いいぜ、ほら。イけよ」
「……っ、あ、ああぁっ!」

兄ちゃんは嫌がる俺を押さえ付け、そのまま全てを飲み干した。本当止めろって言ってんのに。
声も出せずにひたすら胸を上下させてる俺を見下ろして、「よかったろ」と口端を上げて言う。
こんな時まで無駄にイケメンなのも止めて欲しい。

「……兄ちゃん、」
「ん?」
「俺だけ…兄ちゃん、は……?」
「…馬鹿、んな心配すんな」

兄ちゃんは俺の髪をクシャリと撫でて微笑んだ。

「後で一緒に気持ちよくなろうぜ」

あ、やっぱりするんだ、アレ。兄ちゃんと俺のを一緒にするやつ。
えー…疲れたのに。優しいとか思った俺の純粋な気持ちを返せ。

「何その不満げな顔」
「滅相もございません」
「てめぇ、大体俺が今日引きこもった理由わかってんのか」
「え、何突然」

兄ちゃんは溜息をついて髪を掻き上げた。

「うるせえんだよ、こんな日に外に出ると。見ず知らずの女までやたらめったら寄って来やがって」
「あ…、チョコ?」
「携帯もガンガン鳴るから夕べから電源落としっぱなしだよ」
「うわー…そ、そんなに…」
「てめぇ今羨ましいとか思ってたら犯すぞコノヤロウ」
「滅相もございません」

ほんのちょっぴり、1ミクロンくらい思いましたごめんなさい。
不機嫌そうに俺を見下ろしてた顔がふと柔らかく緩んだ。

「……お前のだけでいいんだよ」


こういうの、何て言うんだろ。よくわからない感情が胸の内から噴き出した。

手作りしてよかった。一個食べてゴメン。来年も作るから。もっと上手に愛情込めて。俺もいい男になる。そんでもっと、好きになるよ。

兄ちゃんの首に両手を伸ばして引き寄せた。

「兄ちゃん」
「何だよ」
「……一緒に気持ちよくなろう」
「当然だ馬鹿」

兄ちゃんは笑って俺の頭をポンポンと柔らかく撫でた。
それは俺がガキの頃から兄ちゃんがしてた仕草で、ずっと包まれてたんだと実感した。

今日、バレンタイン、初めて兄ちゃんが大切な存在だと、気付いた。



end





春山 潮様 リクエスト:隣のお兄さんパロ(R18おまかせ)
2周年感謝企画へのご参加ありがとうございましたv 季節ものになってしまいました!すみません!
そしてR18というほどでもないものになってしましました…>_<
でもこのシリーズはとても書きやすくて嬉しかったですv
どうかこれからもよろしくお願い致します!リクエスト、本当にありがとうございましたv










あきゅろす。
無料HPエムペ!