title 私はそうであることを願います 原作設定 もしも三蔵が三蔵法師をやめたら。そしたら三蔵はどうなるのかなって思ったんだ。 気になって俺は聞いてみた。 悟浄は「三蔵が坊主じゃなくなっても今とたいして変わんねぇんじゃね?」って言った。たしかに三蔵は肉も食べるし酒は飲むし煙草は吸うし、挙げ句の果てには銃を乱射する。坊主だなんて言われても服装でようやくなるぼど…ってなるくらいだ。まるで坊主のコスプレしてるみたいにも見えなくはないけど。 八戒は「あの人自分勝手で横暴で俺様で悟浄よりも生活能力ないですし、いろいろ大変でしょうね」って笑った。三蔵が三蔵の権限なくしたらあの寺にもいられなくなるしあっという間に一文無しだ。そうなったら三蔵は悟浄と八戒の家に押し込むのかな。ううん、それだけはしなさそう。だって三蔵超プライド高いし。 三蔵が三蔵をやめたら。全然よくわかんない。だから俺は直接本人に聞くことにした。 「なぁ三蔵。三蔵は三蔵じゃなくなったらどうすんの?」 「あ?」 「だからさ、三蔵が坊さんじゃなくなって、何の使命もない普通の人になって。そうしたら三蔵はどうなるのかなーって気になってさ」 三蔵はくだらない、という風に紫煙を燻らせた。俺はけっこう真面目に聞いてるのに。 「なぁ、教えてよ。すっげぇ気になるんだからさ!」 「…別に。そんなこと考えたこともねぇからな」 「だから考えてみてほしかったのに…」 三蔵はやっぱそっけないというか何というか無関心だ。相変わらずだけどひっでぇの。 「もしも三蔵が三蔵じゃなくなったらさ、名前どうなんのかな?三蔵じゃないのに三蔵って名乗るのもあれじゃん?名前無くなるのかな。名前無いのってさみしいよな…」 「…お前なんで勝手に話を展開してんだ」 「そこ重要じゃん。三蔵のこと三蔵って呼べなくなる」 俺が三蔵って呼べないのは嫌だけど、三蔵自身を呼べなくなるのはもっと嫌だ。 「三蔵が名前なくなったらさ、俺が三蔵の名前つけたいんだ。俺は覚えてないけど、俺のこの悟空って名前だってきっと大切な人がつけてくれたんだろうし。誰かがつけてくれた方が嬉しいだろ?」 「絶対変なつけるだろお前は」 「真面目に考えるよ!」 三蔵は不満そうな顔をしてるけどこれだけは絶対に譲れない。譲りたくないんだ。 「でさ、だから俺は三蔵が三蔵じゃなくなっても三蔵と一緒にいたい。三蔵と一緒にいられたらそれだけでいいから」 「…俺がお前を手放すとでも思ってんのか、アホ」 「へへっ」 何年先でも、何があっても変わっても。俺はこれから先ずっと三蔵といたいだけなんだ。 私はそうであることを願います (三蔵がいれば、それだけで) [*前へ][次へ#] |