真夜中にザンツナスク
週末の任務は疲れる。一週間の疲れがドッと押し寄せるからか、いつも以上に溜め息が多く出るような気がする。
早く部屋に帰ってシャワー浴びて寝る
それだけが今俺が歩く理由であり糧だ。汗が染み付いた服なんてさっさと脱ぎ捨てて洗い流してさっぱりしてベッドに飛び込む。きっとぐっすり眠れる。
部屋の前まで来てノブを回し手前に引くと部屋が明るい。
待て、なんで明るい?
今は夜中の三時…
「あー!ザンザス、超直感使うなよ!ババから逃げるな!」
「チッ、バレたか…」
「う゛おぉおぉおおい!!なんで人の部屋に居やがんだバカボス共おおぉぉぉ!!」
しかも夜中の三時に!!
ババ抜きして!!
菓子食い散らかして!!
俺のベッドの上で!!
こいつら殺してぇマジで殺してぇぞおぉ!!
「おかえり、スクアーロ」
「うるせぇぞカス鮫」
「誰がバカだって?」
「かっ消すぞカス」
「その微妙に噛み合った会話をやめろぉ!!ていうかなんで居やがる!!寝てろよ!」
俺のベッドで胡座をかきながらポテトチップスを頬張ってんのがヴァリアーのボスのザンザス。
その隣でポッ〇ー食ってんのがこのボンゴレファミリーのボスである沢田綱吉。
こいつらは数年前までかなりの険悪ムードを保っていてお互いが近くに居るだけで殺し合いをおっぱじめ、多くの負傷者を出した一番鉢合わせさせてはならない組み合わせナンバーワンだった。
しかしそれも数年前までで、気がついたら何故か2人は仲良くなっていた。当時は『天変地異の前振れだ』と騒ぐ者が多く、ファミリー内は大混乱となった。しかし、俺は知っている。こいつらが裏では酒飲み友達なのも悪巧み仲間なのも暇つぶしに喧嘩しているのも全て。
「スクアーロぉ、コーラ飲みたいぃー」
「おい、酒持ってこい」
「ふざけんな俺は任務帰りなんだ、疲れてんだぁ!!自分等でやりやがれ、つうか出てけ!!」
俺は寝るんだ、と続く言葉は投げられた酒瓶で飲み込むことになった。ガラスの厚い酒瓶をわざわざ選んで投げやがった…!
仕方なく重い足で冷蔵庫の前まで行きコーラを一本、そして酒が並べられている戸棚に行き酒を選ぶ。
「しりとり…り…りす」
「す…寿司」
「スクアーロ、『し』だよ」
「あ゛ぁ?し…死ね」
がしゃぁぁぁあぁあん
「てめぇカス!!誰に向かって『死ね』なんて言ってやがる!!」
「残念だなスクアーロ、俺に向かってそんな口聞くなんて…」
「グローブ構えてんなよ!!つうかどんな被害妄想してやがんだぁ!!」
俺に向かって投げられたのはベッドの横に置いてあった小さなテーブルだ。壁にめり込んでる。投げたのは絶対綱吉の方だ。奴は異常な程の怪力だからだ。
適当な酒を持って渡す。コーラを渡せばにっこりと笑った。
「ありがと、スクアーロっ」
ちゅっ
リップ音を響かせ俺の頬に口付けた。
俺は騙されねぇからな可愛い顔の下には悪魔どころか魔王がいやがるんだからな、くそっ!!
「次は七並べやろ〜」
「てめぇもだからなカス鮫」
「はぁ!?俺は寝るん」
「ス ク ア ー ロ ?」
後ろに魔王(サタン)が!!
魔王が見えてるぜ綱吉!!
「もう好きにしやがれ…」
「じゃあ始めるよ〜」
「おう」
こうして俺の夜は長くさせられた…
end
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