[携帯モード] [URL送信]
クリスマスでプリツナ






薄暗い空から白いものがひらひらと舞い落ちていた。地面を見やればそれが辺り一面を覆い尽くしている。あぁ、雪が降っているのか、なんて室内に居ながら窓を見つめた。









「今日はクリスマスですね、10代目」



朝8:00。今日済ませなきゃいけない書類を運びながら隼人が笑顔で言った。
今日はクリスマスだったのか、と自分の日にち感覚が無くなっていることを自覚しながら心の中で思う。此処の所、仕事に忙殺させられていた。
あるロシアンマフィアが最近勢力を伸ばし同盟を求めてきた。それは良いのだが差し当たってそのファミリーの身辺調査や歴史、ボスの人柄、部下の人数把握、更に裏の顔など、こちらが同盟を結ぶに当たりメリット・デメリット、そしてその同盟の裏側などを知り要人暗殺を防ぐことが不可欠だった。その為に情報を集め、集められた情報を整理して咀嚼し吟味し漸く嚥下した所だ。同盟は年明けに行われることになった。
それ以外にも仕事は山積みで、今日もこうして紙の山が積み上げられていく。近々元家庭教師であり現在ボンゴレ専属ヒットマンのリボーンが様子見と称して俺に休養を取るように促しに来るだろう。それ程までに最近は寝てないし休んでない。

「もうクリスマスなんだ」

「はい。やっぱり忘れてたんですね」

苦笑しながら隼人はスケジュールを読み上げる。良く見れば隼人の目の下には隈が出来ていた。どうやら隼人も休んでないらしい。まったく、休んで良いって言っといたのに。

「7時から会食がありますが、これはキャンセルしますので」

「え?なんで?」

机に置かれた書類を手に取り左腕を机に乗せ頬杖を付き体を正面から右方向へ向かせながら尋ねる。あぁ、年末が近いから決算報告だ。

「働き過ぎですよ、10代目。仕事を持って来た俺に言えることではありませんが少し休んでください」

いきなり何を言うのかと思えば…心配してくれるのは嬉しいけど、俺は仕事がしたいの。

「大丈夫だよ、会食入れといて」

「駄目ですよ、10代目!倒れちゃいますよ!」

大丈夫、そう言おうと口を開きかけた時












「デーチモ、目の下に無粋な隈が出来ている。綺麗な瞳に似つかわしくない、今すぐ寝てくると良い」



隼人、やっぱり会食はキャンセルで



どこからともなく現れたボンゴレ初代ボスは俺の前にいて机に腰掛けていた。
暖房がかかった室内の温度が急低下したように一気に俺の周りが冷たく凍える。




「目障りだ、消えろ」

「連れないなデーチモ。クリスマスくらい甘やかな一時を味わいたいとは思わぬか?」

「思わねえよ死ねよお前となんざ死んでもお断りだ」

「クリスマスの朝に『死ね』とは随分なことを言う。最も我はもう死ねぬがな。」

「消えろマジで消えろ今すぐ消えろ消滅しろ」

「お前と共にクリスマスを祝いたいのだが」

「キリシタンじゃねぇだろ」

「あぁ、勿論だ。神は我だからな」

てめぇのその自信過剰なとこがムカつくんだよ






グシャリ、と厚さ1.5cmの書類にシワが寄る。思わず力を込めてしまった。

「じゅ、じゅじゅじゅじゅ10代目っ…目が据わってますっ…!!落ち着いてっ…!!」

俺は落ち着いてるよ隼人。
ガクガクと震える隼人に視線はアレに向けたままニコリと微笑む。
『ひっ…!』と後ろに退いた。
人が微笑んでやったってのに あとでボコす




「嗚呼、デーチモの綺麗な髪に潤いがない」

アレが手を伸ばしてきたので払い落とした。しまった、握り潰せばよかった。
そんな俺の反応に気を良くしたのか(本当にキモい)アレはフッ…と笑って言った。










「手緩い反撃だな、本気で拒否しなくて良いのか?ツナヨシ」









ブチィ










今日と言う今日は我慢ならねぇ本気で殺すマジで殺すホワイトクリスマスならぬブラッディークリスマスにしてやらぁあぁああああ!!!



「“血のクリスマス”か?新鮮で良い」



「いやぁあああああ10代目ええぇえぇ!!書類があぁあああぁ!!ちょ、誰か来いいぃいいいぃ!!」







大切な書類達が宙を舞う中、俺達はグローブに炎を灯して殴り合う。壁を粉々にし机を粉砕し屋敷内を駆けありとあらゆる物を破壊して行った。ちなみに俺が持っていた書類は燃えた。


その後、隼人の叫び声を聞いて集まって来た守護者と元家庭教師に泣きながら懇願され屋敷は半壊に留まらせることが出来た。


とりあえずいつか絶対にアレの息の根を止めてやる。








end









久しぶりに初ツナ書いた…

クリスマスネタを書くにあたって、少しばかりクリスマスのことについて調べたのですが、なんでもイタリアではプレゼントを持ってくるのはサンタクロースではなく、魔法使いが持ってくるらしい。文化の違いって素晴らしい。

[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!