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大好き大好き雲雀さん!!(山本語り)



夕焼けが雲を綺麗にオレンジ色に染めてる。
みかん食べてぇなぁ、なんて思ってたらツナが口に出して言った。考えることは同じなのなー!




今日は部活も早く終わってツナ達と一緒に帰ることが出来た。いつもは部活で帰るの遅いから先に帰ってもらってる。
他愛ない会話をして、笑って、そんな時間が俺は一番好きだ。野球もそりゃ好きだけど。でもなんつうか、やっぱりツナ達と居る方が楽しいんだ。親友だしな!




「あ」





笑いながら歩いてたら獄寺が突然声をあげた。前を見てるから、何か見つけたみたいだな。
俺もそれにならって前に視線を向ける。



ゴゥッ!!






前に視線を向けたのと、もの凄い風が横を駆け抜けたのは同時だった。

あぁ、いつものパターンなー…



土煙で辺りが見えないけど、前方で『ぎゃぐっ』と言う声と地面をズザザーと滑る音が聞こえてきたから何が起きたか大体はわかる。

それにしても、今日の声は新しい声だなー。叫ぶのを抑えた感じの。頑張ってんのな…




土煙が晴れてくると、そこにいたのはツナに抱きつかれて地面に倒れてる雲雀だった。
うん、パターン。

「雲雀さん雲雀さん!会いたかったです!こんな所で会えるなんて運命ですね!」
「…そ、そうだね…」

ゆっくりと起き上がって雲雀はツナの頭を撫でた。そんな雲雀にさらに強く抱きつき、もっと撫でてと言わんばかりに頬をすり寄せてる。ツナ、雲雀の背中でゴキッとか骨が鳴る音が聞こえたけど、良いのか?若干雲雀の顔が青いけど、良いのか?

ふと視線をツナ達から離すと草壁さんがいた。
……固まってるよな、あれ。そりゃあ、前にいた風紀委員長がいきなり土煙と悲鳴と共にいなくなれば驚くよな。あれは未だに驚く。それと同時に感心する。ツナは雲雀が大好きなんだなって。そんなツナを受け止める雲雀も、ツナが大好きなんだ。



「雲雀さん!一緒に帰りませんか?」
「うん、一緒に帰ろう」
「わぁい!ってことだから、山本と獄寺君!また明日!!」


「あぁ、また明日な!」
「お気をつけて!十代目!」


2人は立ち上がり、手を繋いで学校の方に戻っていった。多分、雲雀のバイクを取りに行ったんだと思う。

「じゃ、俺らも帰るか!」
「…なんでてめぇなんかと…」

ぶちぶち文句を垂れる獄寺と前を向くと、草壁さんと目があった。
そういえば、雲雀は草壁さんに何も言わないで帰っちまったな…もしかして、忘れられた…?


「…………寄り道しないように」
「…委員会頑張ってな」










草壁さんの背中から哀愁が漂うのは、夕日のせいにすることにした。






end

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