温もりを貴女に【美鈴】
「面倒じゃないですか?」
立っている美鈴の隣に座っているアリスに声を掛けた。
図書館で本を借りた後、美鈴が門番をしている日は暫く隣に座って本を読んでから帰る。何度もされてきたそれは日常となり、アリスは美鈴が用意してくれたシートの上に座るようになった。
「何が?」
「図書館で読めばいいんじゃないかな、と」
「…美鈴の隣がいいの」
美鈴の服の裾をぎゅっと掴み、照れ隠しに目線は本に落とした。
「魔理沙が来たら一緒に追い払ってあげるから」
「あ、それ助かります」
他愛もない会話を続ける。アリスは此処で本を開いても、そのページが進むことはあまりない。
「今日は一段と冷えますね」
「そうかしら?あまり寒くないけど…」
「私の側に居るからですよ」
「へ?」
美鈴の言葉にアリスは顔を真っ赤にするが、美鈴は気付かず話を進める。
「気で、寒さを和らげてるんですよ」
「そういう意味ね」
「どういう意味でした?」
首を傾げて問うが、アリスは知らない!と言ってそっぽを向いた。
「言ってくれないと分からないですよぉ」
「言わないと分からない美鈴が悪い…」
本を閉じて隣に置き、膝を抱えてふて腐れた態度をとったが美鈴は慌てることなく、しゃがんでアリスの頭を撫でた。
「アリスさん」
「…」
「大好きですよ」
アリスの身体がビクッとしたが、顔を上げることはなかった。だが膝を抱えていた手は、美鈴の服をギュッと掴んでいる。それに美鈴はアリスにバレないように小さく笑い、そっと頭にキスをした。
(なら睡魔も気で何とかならないの?)
(それが出来たら苦労しませんよ…)
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難しいなぁ。でもコメントいただいた時から考えていたシチュエーションはこんな感じでしたから、書けて満足しています^^
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