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あの人だぁれ?【東方】


咲夜+アリス





「咲夜ー、さーくーやー」


三階の教室から窓の外を見ながら、アリスは咲夜を呼んだ。


「お嬢様みたいな呼び方しないの」


アリスの隣に並び、同じように窓の外を見ながら言った。


「あの人知ってる?」
「どの人?」


アリスが指差した先は体操服を着た上級生。咲夜は目を細めながらそれらを見る。


「一番綺麗な人」
「あー永江衣玖って人じゃないの?」


一個上の学年で綺麗な人と有名なのは咲夜が名を上げた衣玖である。アリスが指差す先に衣玖は居るので咲夜は言ったのだが、アリスは違うと否定した。


「何してるんです?」


早苗がやってきてアリスに後ろから抱きついた。


「あの人知ってる?」

永江先輩の隣に居る人。とアリスは早苗にも聞いてみると、なんとも難しそうな顔をされた。


「風見幽香って人じゃない?」
「知ってるの?!」
「噂でね」


噂?と食い付いたのは咲夜。早苗はあくまでも噂だと釘を刺してから話し始めた。


「ちょっとキツめで上級生に対しても結構上から目線の人。誰かと付き合っては直ぐに別れるを繰り返してるんだって」

でも何故か年下にモテる。と運動場の方を見ながら言った。


「上から目線って…」


咲夜が言って、三人共幽香を見やる。


「見えるわね」


アリスが言って三人は頷く。まだ5分程度だが、幽香を見たときは腕組をしていて、とても謙虚とは言えなさそうな性格だと感じた。


「気になるなら文に聞いてみたら?」


チャイムが鳴り、席に戻る前に咲夜は言った。
その時間中、アリスはずっと文に頼むかどうかを悩みながら授業を受けた。


※※※※

「構いませんよ」


放課後、遠慮がちに文にお願いしてみたらあっさりとOKを貰えた。寧ろ面白そうなネタを頂いたと言う顔をしている。


「具体的に何を知りたいんです?」
「恋愛観って言うのかなぁ」


どう言っていいか言葉を濁しているアリスを余所に、文はいつも持ち歩いている手帳をパラパラと捲った。


「それ系ならもうネタがありますよ。以前に依頼があったんで」
「教えてもらえる?」
「噂、知ってます?」
「それなりに」
「それの通りなんですよ。ただ、自分から手を出したってのは無いそうです」
「そうなんだ…」
「好きになっちゃったんですか?」
「ううん。そんなんじゃないの」


有り難う。と言ってその場を去ろうとしたアリスの腕を文はガシッっと掴んだ。


「情報料」
「手間掛けさせてないじゃない!それに友達からお金取る気?!」
「お金じゃなくても何かし取る気です」

お菓子、期待してます。笑顔で言って手を離した。


「お菓子かぁ…。週末何作ろ」


色々と思い浮かべながら家庭科室に向かった。

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