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夢から覚めて
エレンという名を持つ彼との接触
とりあえず、兵士になってしまったからには、一番安全なところを選択したい。
それができないのならば、せめて自ら危険に向かうような選択はしたくない。

だから、最初から決まっていたのだ。駐屯兵団に入ると。






















エレン・イェーガーの監視班といっても、特別な半というわけではなかった。
精鋭のほとんどが、その命を落としており駐屯兵団の立て直しのために必要だった。
だから、精鋭班を特別監視班に置くことはできず、あまり、実力のない人間が監視班になった。

びくびくとおびえる先輩たちをみながら、ぼうっとして過ごす。
あんなことがあったばかりだというのにここはなんて平和なのだろう。


エレン・イェーガーは審議所から連れてこられてからずっと一室に軟禁されており、手かせをつけられたまま、ベットに拘束されている。そのカギを持っているのは監視班のメンバーで。

彼がイライラしているのがよくわかった。
訓練したい、巨人を殺すためにに鍛えたい、そう思っているのだろう。
けれど、私には理解できないのだ。

平和で、何にも恐怖することのない今をどうして甘受できないのだろうかと。
そうやって危険に向かっていくのは怖くないのかと。

そう思う。




びくびくする先輩たちはやがて特に怯えていない私に気が付いて、その役目をほとんど押しつけてきた。

一人で監視するといっても特に何もすることがないので、椅子に座って居眠りをしたり、本を読んだりしていた。
すると、彼のむけてくる視線はさらに強くなってきて、怒りが向けられていることに気が付いた。

放っておいても害はないので、気にしないという選択もできたが、やはり気になるので、話しかけようとしていたら、彼が話しかけてきた。


「なんで、俺にびくびくしないんだ?ほかの連中はそうなのに。」

その言葉にぽかん、として、それから返す。

「なぜ、君に私がびくびっくしなければいけないんだい?」
「それは、俺が化け物だから。」
「やめたほうがいい。」

「・・・は?」


訳が分からないという表情の彼に告げる。


「自分が化け物だと自分で言ってしまったらその瞬間君は本当に化け物になってしまう。だから、そういう発言はやめた方がいい。」

「わからないという顔をしているね。」

「言霊、という言葉を知っているかい?・・ああ、返事はしなくていいよ、多分知らないだろうから。言霊というのは口にする言葉というものには力が宿るという考え方のことだ。実際にそんなことがあるのかどうかはわからない。けれど、時に人の発言はほかの人の運命を左右する。だからあながちウソではないと私は考えている。」

だから、どうした、という表情の彼に続ける。

「時に、ミーナ・カロライナのことは知っているかい?」

そういうと彼の表情が硬くなった。

「そうだ、君の班のメンバーだった。彼女はもともと志望兵団は決まっていなかった。けれど、君の言葉に惹かれて調査兵団志望になった。そして、あの日。トーマス・ワグナーの死に動揺した君の行動で規律の乱れた班員はアルミン・アルレルト唯一人を残して全滅した。」

「君が班長としての役割をちゃんと果たさなかったから彼らは死んだ。私はそう考えている。彼らの死はもしかしたら避けられなかったかもしれない。けれど、あの時確かに、激情に身を任せ、君が暴走した、という事実だけは代えられない。」

「君の巨人化という力はきっととても強いものだ。それは私だってわかっている。けれど、君は今私たちにその牙をむかない。それだけはわかっている。だって、もし君が私たちの敵になるのならば、そのような細い鎖も、監視の私も何の意味もなさないだろう?だから、何も恐れることはない。だけど、もし何か恐れる必要があるのならばそれは気にもその激情だ。ひとたびそれに身を任せれば、君は怒りに任せ暴走し、私なんてひとたまりもないだろう。」

「そして、それは、同時に君の居場所をも奪う。動物という社会では基本的に強い存在がすべてだ。しかし、このような知性を持つ社会においてそれはイコールではない。つまり知性を持つ社会で生きるためには力だけではだめなのだ。君のその力は人類にとってとても重要なものだ。けれどもろ刃の剣でもある。」

「そうだ、君は知っているかい、”持てる者の義務”という言葉を。力を持つ者の義務。すなわちそれは今君に必要とされているものだ。君がいつまでもこの部屋に軟禁されているのも、それは君という存在が不確定だからだ。君は感情を制御できるようにならなくてはならない。今回の奪還作戦で多くのものが命を落とした。それは君が巨人化を制御できなかったため時間がかかったことも影響している。君は自分の力についても、周りに対する影響についてもよく考えなければならない。それが今、ここで求められていることだ。それができないから、君はいまだに訓練に参加することもできなければ、鎖をはずしてもらうこともできない。そういうことだ。」



そういうと彼が驚いたように目を見開く。

本来ならばこの言葉を口にするのは別の人物だったのだろうけれど、彼が自分について考えるきっかけが、必要だと、この組織で気が付いているのが私だけだったから仕方なくだ。
本当は関わりたくないのだけれど。






















#2 エレン・イェーガーとの接触






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