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夢から覚めて
壊れた世界の始まった日

わぁわぁと喚いている耳障りな声。
彼女たちは、彼らに疎まれている。
強くないといけないとか言いながら、巨人なんて全部ぶっ殺すとか言いながら訓練で簡単に根を上げる。
主役級のかれらが眉をひそめているのにも気がつかないで。

けれど、それに気がつかず自分は愛されているのだと思い込んでいて。


けれど私は。

「尊敬するよ。君たちのその、愚かなほどまでの執着を。」












こんな残酷で恐怖にあふれた世界に望んでくる旅人たちを。


◆これは、のぞまずにしてこの世界に来てしまったひとりの少女のおはなし◆























知っているのと実際に見るのでは違う。
それは誰もがわかっていることだ。

けれど、やはり。
覚悟していたつもりでも私という人間がいかに甘やかされた世界で生きていたかがわかる。

目の前に現れた巨人はアニメや漫画で見るよりも、はるかに早くて恐ろしい存在だった。
腕が引きちぎられたのだろう先輩の兵士の死体を見た。
血だまりを見た。
下半身のないほかの班の訓練兵の死体を見た。

悲鳴と、恐怖と、絶望を見た。

必死だった。怖かった。死にたくなかった。とにかく巨人に捕まらないように、動いて走って、項を削ぎ落として。
気がつくと周りには一人しかいなかった。

彼女は私とあまり話さない子だったけれど、とても可愛らしい笑顔を浮かべる子だった。
けれど、今、目の前にある彼女の顔は絶望に色どられていて、目はうつろだった。

ああ、死んだな、と思った。
戦場で思考を放棄して立ち尽くす人間は生きていけない。

ああ、でも。

戦場などではなく、ここは地獄だったな、なんて思って。

トロスト区の中衛で心を手放した彼女と二人。
周りには無数の巨人の死体。

ガスの残量は、ほとんどない。

機動力を失ったら勝ち目などない。
けれど、諦めたら待つのは巨人の捕食だ。

それは怖い。

そう思ったとき、大きく鐘が鳴る音がした。
鐘の鳴る音。


”ああ、エレン・イェーガーが巨人に食べられたのか”

そう、漠然と”原作”を思い出して、ふと空を見た。
私が一番帰りたい世界で、みたどの空よりも透き通るような青さで、なぜか涙がこぼれた。



   *  *  *


補給所奪還作戦。

原作で知っていたその作戦の為にまず、ミカサが皆を鼓舞した。
その瞳の中の絶望を見ながらも、私は何も言わない。

例の耳障りな旅人達はここにはいない。
どうやら巨人に捕食されたようだ。

まあ、現実も何もみたいない彼女達が生き残れるはずがない事を、なんとなくわかっていたから、それほど驚きもしなかったけれど。

先を切ってミカサが向かうときも、唯巻き込まれないようについて行った。
旅人達は彼らの関心や興味を引こうとしてかかわろうとしていたけれど、私はかかわりたくなかった。

いや、実際にかかわらなかった。
というのも私はこの世界に生まれ時からずっと怖かった。
かかわりたくなかったし兵士にもなりたくなかった。
けれど、時代の流れは残酷で、世論も残酷だった。

そしてわたしがウォールマリアの住人だったから、両親を失ってしまったから、ならざるを得なかったというのもあった。

だけど、望んでなったわけではない。
だから、私の中で兵士の象徴の彼らにかかわりたくなかったのだ。
だけど一生懸命訓練した。
場合も想定して訓練して、あの兵士長のような技術がいかに難しいかも理解した。

誰にも関わら内容にして教官に頼み込んで、ひたすら訓練に明け暮れた。

成績は11位だった。憲兵団になれなかったことが悔しかったという感情はなかった。
ただ、やはり原作はかわらないのかな、と思っただけで。
それに女型のときにかかわりたくなかったしいいかな、と思った。

解散式の日の夜のエレンの演説を聞きながして、ふと思った。

私は弱いけれど、それはきっと強い人にはわからないのだろう、と。
あのまっすぐすぎる眼差しを、私はきっと永遠に向き合ってみることはできないのだろう。


それと同じように、目の前で、仲間のしに動揺するジャン・キルシュタインを見ながら、今、離脱してここにはいない彼の言葉を思い出した。

「思考停止はすなわち死である。私たちは非力だ、だからこそ思考する。やるしかないのだ。今、ここで、君の力(言葉)が必要なのだー…ジャン・キルシュタイン。」

そう、ここにいる訓練兵の皆が知っている。上位十位に入った実力者の中で、最も立体起動の実力がある人物である彼にしかできない事。

ひとりでに零れ落ちた言葉に、誰もが、息をのんだ。
私の横顔を凝視する彼がばっと顔を上げたとき、その瞳に宿る光に、私は彼もまた強い人間の一人だったと、思うのだ。


  *  *  *


補給所に着いたとき、違和感の正体が判明した。
巨人を倒す巨人がなぜか、三体居た。


その人数から一人がエレン・イェーガーでありほか二人が旅人達なのだろうと思った。
けれど、そんなことは今はどうでもいいのだ。自分が生きていくために必要なことにそれらは入っていない。

奪還作戦を話す彼らはとても強い瞳で、ああ、やはり覚悟を持っている人間というのはすごいと思った。
私にはできない。
私は、前世という生ぬるいそしておろかに生きていくだけで済んだあの世界の記憶があるから。

巨人を倒すのはあのメンバーの通りでいくと思っていた。
しかし、何かあった際の為にもうひとり保険をかけておきたいという原作にはなかった提案に驚く。

実際原作でも失敗はしていたけれど、そんな提案をされた場合、任されるのはマルコか私だとわかっていた。
原作でなぜマルコではなかったのか、と思っていたけれど、原因はどうやら、冷静に巨人に対して発砲する指示を出せる人間がマルコしか考えられなかったからだということがわかった。

なるほど、それならば私は向いていないな、と思っていると、マルコが原作通りで私がコニーとサシャのあたりに配置された。

よりによってその場所か、怖いな。と思いつつも気を抜かずに行かなければまつのは死だ。











べしゃ、と地面にたたきつけられたというか落ちたコニーの巨人の頭の上に飛び乗るそのままさんざん訓練したジャンプし回転しながらうなじを切り落とす。そのまま、サシャのほうに迫っている巨人のがら空きのうなじのほうにジャンプし回転しながらうなじを切り落とす。

アニメで見た名シーンを再現することになったが、立体起動とほとんど使わないあの動きができるようにしておいて本当によかったと思う。

いま、この場所で死ななくて済んだのだから。
というのも原作でサシャとコニーのフォローをした二人は足を滑らせ転倒しており援護が来るはずがなかったからだ。

ちょっとずつずれている世界に困惑しながらもガスの補給を開始した。

そして、次々と非難していこうとする仲間に続いてその場から足早に立ち去った。
彼らが巨人のほうを見に行こうとするのにかかわらないようにして。

人数が増えていてもあのメンバーならばきっと大丈夫だと。
なにより、私は自分の死亡フラグを増やしたくはないから。



  *  *  *


審議所で何があったかはあまりよく聞いていない。
けれど、目の前の現実に、驚くしかなかった。

旅人達は調査兵団に入って特別作戦班とやらに所属するようだ。
ところがエレン・イェーガーだけはそうならなかったようで。
今、

駐屯兵団の一室に彼がいる。
駐屯兵団に入った私は、駐屯兵団特別監視班の一人として、任命され(どうやらトロスト区での巨人討伐数がよかったため。)彼の監視の一人になったようだ。ミカサ・アッカーマンとアルミン・アルレルトも駐屯兵団に入ったがかれらは親しいため、この班には入れなかったようだ。


私が知っている原作、アニメはここまで。

ここからどうなるのかは全く知らない。けれど、この目の前にある現実から、きっとだいぶこのせかいが変化してしまっているのだとまざまざと実感させられて。


ただ、此方を睨んでくる、彼の監視を行うことになった。



































#1 壊れた世界の始まった日
(彼女が世界と向き合うまでの簡単なあらすじ)





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