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一歩前進









Lesson.1


『話をしましょう』












苗字名前、中学3年生

恋をしました



初めての恋で何をすれば良いのかわからず、友達に教えを請うことにした――。








「挨拶は出来るけど話しなんて無理だよ…」

朝のHR前に、前の席の友達から特別恋愛レッスンを受けていた。



「アンタなぁ…同じクラスなんやから普通に話しかけたらえぇやん」
「それが出来たら最初からやっとるわ!!」


机をバンッと叩き立ち上がると教室中の生徒の視線が集まる。

ああ、いけないいけない!
熱くなるとつい関西弁出てきちゃうんだから



「『おはよー』ついでに『宿題やった?』とかいろいろあるやん」
「だっ、だって顔見るの恥ずかしいんだもん…」
「顔真っ赤や(可愛ぇな〜もう)」

どないしたもんか…と顎に手を当て呟いた友達は、チラッと私の斜め後ろを見てニヤリ



あれ、斜め後ろって白石君の席が…

「名前」
「ん?」
「この日誌、白石んとこ届けてきーや」








えええええええ!?


「わ、私が!?」
「話す機会作ってやっとるんやから、な?」

…協力するとか言って実は楽しんでるだけじゃないの。



後から文句言われてもうるさいので緊張しながらも渡しに行くことにした――。












「し、白石…君」
「ん?何や?」

おずおずと視線を上げるとニコっと笑いかけられた。

さ、爽やかすぎるっ!
あーもう心臓もたないよ〜!





「こここれ…日誌…友達から、なんだけど…」
「あー、今日日直か」

オサムちゃんに言うとかなアカンな〜、とぼやきながら日誌を受け取る姿をボーッと見ていると…


「おおきに!でも何で苗字さんが?」
「あ、えっ…と友達が、立てない…って」
「ハハッさっき元気に走っとったやん」

白石君の言葉に隣にいた忍足君が爆笑していた。
何だか二人とも可愛いな…





「じゃあ……よろしくね」

このままだと心臓がもたないので友達のところに戻ろうと思ったのに、





「あ、苗字さん待って?」





呼び止められてしまった…。


「な、何?」
「苗字さん帰宅部やろ?」
「うん…?」
「俺、今日の放課後委員会行かなアカンねん。もし苗字さんに用事とか無かったら半分だけで良いんやけど日直やっといてくれへんかな?」
「え?いいけど…」

特に何も用事は無いし…

「おおきに〜!日誌は俺が書くから苗字さんは黒板と机の整頓頼むわ」
「うん、わかった」


ニッコリ笑って踵を返し席へと戻ると、相変わらずニヤニヤと視線を向ける我が友人…。





「どやった?」
「日直頼まれた…」
「は?」

白石とやり取りした内容を話すと友達は再びニヤリと笑った。



「向こうも必死なわけやな」
「何が??」
「なんでもあらへん」
「?」

友達の言ってることは全くわからなかったけど、とにかく白石君と話せたことが嬉しくて今日一日中頬が緩みっぱなしだった――。








一歩前進



(うあードキドキするよー)
(純情やねぇ)

(白石、忙しいんやったら日直変わったろか?)
(いらん)
(やってわざわざ苗字さんに頼まんでも…)
(ヘタレ!空気読めや!!)
(ええぇぇぇえ)




――――――――――
ファンディスクで空気読めるとか言ってた気がするけど謙也君はKY\(^0^)/



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