#1 出会いはロマンチックに? 「名前!大きな仕事が入ったぞ!あの跡部景吾と!」 マネージャーの台詞に吃驚して開いた口が塞がらなかった。 マ、マジで? 跡部景吾っていったら今やNo.1アーティストと言っても過言ではない超人気歌手だ。 そんな有名人が二流グラビアアイドルに何の用ですか? マネージャーも仕事内容までは知らないらしい。あまりにも不安な仕事だったので断ろうと口を開いた瞬間、後ろに何か気配を感じた。 「テメェか…苗字名前っつーのは」 「―ッ!?」 いきなり耳元で聞こえた声に鳥肌が立つ。しかも腰からお腹に手をスルリと回され、撫で回されて密着率100%だ。 だ、誰か助けてえ! 「い、いきなり何するんですか…!」 「アーン?俺様に向かってナメた口きくんじゃねぇよ、塞ぐぞ」 「ひいっ…!」 急に顔の距離を近づけられて身の危険を察しマネージャーの後ろに隠れるが、逆にサッと後ろに回られ背中を押されてしまった。行ってこい、と言わんばかりに…。 …仕事から逃げるな、ということでしょうか? いやいや、プライベートですから!今は! 他の社員はというと、滅多にお目にかかれない美形を目の前にして放心状態だ。 「マネージャー、ちょっとコイツ借りてくぜ」 「はい!どうぞ!」 「えぇ!?ちょっ佐野さん!」 「どっか空いてる部屋はあるか?」 「えーと…あぁ、突き当たりの右の会議室が空いてますよ」 「何で話が進んでんの!?離してよ!」 「うるせぇ!10分で終わる」 ………何がだよ! 出会いはロマンチックに? (全っ然ロマンチックじゃない〜!!!) (叫ぶな!うるせぇんだよ!) (ぎゃああ!!どこ触ってんのよっ!) (コイツ面白ぇ…) ←→ |